キオクシアのAI技術でつくった手塚治虫氏の新作漫画『ぱいどん』(©「TEZUKA2020」プロジェクト)
芸術分野にも人工知能(AI)の活躍の場が広がってきた。キオクシアは日本を代表する漫画家の手塚治虫氏の新作漫画制作に、ソニーは作曲にAI技術を活用する。これまでは顧客からの問い合わせ対応や工場の操業効率化などでの導入事例が多かったものの、ここに来て産業界の枠を超えた社会実装が進む。真のAI時代がもうすぐやって来そうだ。
キオクシアは手塚治虫作品を学習したAIと専門家の手による新作漫画『ぱいどん』の後編を31日にウェブ上で無料公開する。前編は2月27日に発売された講談社の漫画雑誌『モーニング』に掲載済み。31日の後編公開によって新たな手塚作品が完成を迎える。
今回のAIはNAND型フラッシュメモリーをつくる四日市工場(三重県四日市市)のウエハー検査工程で使う画像認識・生成技術を応用した。工場で培った泥臭い技術を漫画制作に生かす一大プロジェクトだ。
ソニーコンピュータサイエンス研究所(東京都品川区)はAI技術を活用した作曲支援サービスを開始した。グループの音楽会社に所属するアーティストなどに提供し、音楽制作の効率化を目指す。
利用者が希望するコード進行と機械学習モデルを指定すると、AIが4小節や8小節のメロディーを複数自動生成する。そのメロディーを基に全体の楽曲を作り上げる流れだ。
NECは東京都港区の六本木商店街振興組合と共同でAIを搭載したスマート街路灯を設置する。「アート・デザインの街」を標榜する六本木で6月までに計20本の設置を計画。
街路灯のカメラ映像をAIで解析し、訪問者の移動方向や属性、人数を推測する。そのデータを参考に集客策を講じ、商店街のさらなる活性化につなげる狙いだ。
日刊工業新聞2020年3月27日
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