新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」発令で、ますます消費の冷え込みが懸念されている日本。報道で話題となっている飲食店だけでなく、百貨店や衣料品店、美容室など、ファッションやビューティーに関連する実店舗も大きな影響を受けている。海外にいたっては、「ルイ・ヴィトン」を筆頭に、アトリエや工場を持つ高級ブランドが医療用ガウンやマスクを生産するほど切迫した状況にある。また産業だけではなく、実際に外出自粛をしている人にとっては不安やストレスがたまってきている。
「こんな時にファッションに気を遣っている場合か？」
海外の取り組みや医療現場の実態を見ると、ファッションやビューティー業界と関わりを持つ自分ですら頭によぎってしまった。
だが、それでも「明けない夜はない」と、“ファッションの力”を信じてビジネスを続ける企業やお店、自宅で少しでも快適に過ごせるよう行動している人がいる。
本記事では、企業や個人の取り組みのヒントになればと思い、そのいくつかを紹介。トレンドになりつつある「おうちコーデ」のファッションポイントとは──。
ビジネスの打ち出し方を変える
大手通販サイト「ZOZOTOWN」は、「おうちコーデアイテム集めました」という特集ページを新たに設けた。
パーカー、スウェット、シャツなど、普段から販売しているものとブランドやアイテムに大きな変化はない。ただ、シルエットがゆったりしていたり、柔らかくて気持ちが良さそうな素材感、1万円以下の低価格帯で揃えているのが印象的なキュレーションだ。その他にも「ZOZOTOWN」15周年特別企画では「住」をテーマにした企画を行うなど、ファッションを通じてより良い生活を提案し続けている。
一方、通販サイトではなく実店舗に目を向けると、高価格帯のブランド品を扱う福岡のセレクトショップ「HUES」では、ショップのInstagramアカウントを通じて「おうちコーデ」アイテムを打ち出していた。
「家の中でも外でも着れる快適かつシンプルな定番」という見出しで、人気ブランド「マルタン・マルジェラ」のニット 6万2000円（税抜）を紹介。
福岡も「緊急事態宣言」の対象エリアということもあり、「HUES」の実店舗は販売自粛中。間口が広いInstagramアカウントを通じてオンラインショップに誘導する戦略だ。そのため、「モード性（デザイン）より、機能性が高いアイテムの紹介を増やしていきたい」と紹介の仕方一つとっても試行錯誤を続ける。
このように外出自粛以前から販売していた商品も、ブランドやショップが打ち出し方を変えるだけで、今の状況でもファッションが楽しめるような受け取り方ができる。そして、既存の打ち出し方を変えるだけでなく、これからはオンライン接客などで商品の販売が活性化するかもしれない。
オンライン飲み、テレワーク...人と会うことは完全になくならない
次に個人の過ごし方に着目したい。
外出自粛と言えど、プライベートではLINEやZoom等のビデオ機能を使ってインターネット上で飲み交わす「オンライン飲み」でガス抜きする人もいれば、ビジネスでは取引先や同僚とビデオ通話で打ち合わせすることもある。人と会えばホッとするし、みすぼらしい姿を見せたなくないと思うのが人間だ。
だからこそ、これからは前述の通り「外出と同様な雰囲気でいながら、手間暇がかからないファッション」に流れていくはずだ。
ファッションと最も相性が良いSNS「Instagram」では自宅での装いを紹介するハッシュタグの投稿が増えてきている。海外では「#homefashion（26万投稿）」、日本では「#おうちコーデ（3937投稿）」等のハッシュタグと共に、自宅の鏡やセルフタイマーを使ったセルフィーで写真を投稿している。
「おうちコーデ」のポイント
カメラに映る、上半身からコーディネートを組み立てると考えやすい。
実際に筆者のテレワークでの装いをもとに紹介。いずれも通販で購入し、家でも外出時でも着用できるイメージを持って購入した。
【プライベート】
1日8～12時間以上は同じ格好をしている為、とにかく着心地重視。ただ、パジャマにもなるような服を着ていると気持ちが上がらないので、外出時に着るようなカジュアルな装いがオススメ。
【ビジネス】
テレワークをする際はカジュアルな印象になりすぎないようセーターやシャツがオススメ。セーターも冬に着るようなものではなく、暑くてジメジメする春夏でも快適に着られる通気性の良いサマーニットがオススメ。綿や麻素材が混ざった糸で編まれた薄手のニットで、カットソーより上品に着こなせるのが魅力。
【共通点】
・ボトムスはビデオでは写らないので、ワイドパンツや着脱が楽なワンピース（Aライン）、ロングスカートのようなゆったりとしたシルエットがオススメ。
・シワになりにくい服がオススメ。
・気持ちが落ち込むような暗い色は避ける。
・デザイン性が高いあまり、動きづらい・着心地が悪い服は避ける。
・生活と密接のため、不意なタイミングで汚れてしまうこともあるので、お気に入りの汚れたら困る服は避ける。
本来、ファッションやビューティーは外出前提で着飾る為にある。他人からの印象を良くする為だけではなく、高揚する力がある。だが外出前提でなくなっても、人と会うことが0になるわけでも、クローゼットから服がなくなるわけでもない。伝え方、考え方一つで、状況が変わることもある。
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April 11, 2020 at 04:07PM
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