タマムシのような美しい光沢を菊間瓦の表面につけることはできないか--。こんな発想から、愛媛県産業技術研究所(松山市)の中村健治主任研究員(49)は今治市特産の菊間瓦のいぶし銀の表面にある溶液を塗り、虹色の鮮やかな発色を制御する方法を開発した。見る角度が違うと、色も複雑に変わる。薄い層が多数重なり、虹のように見えるタマムシやクジャクの羽と同じ原理だ。この方法を生かしたさまざまな商品開発が期待されている。【松倉展人】
県窯業技術センター(砥部町)在任中の2016~19年度にかけて開発した。最初は瓦に色素を塗って着色する方法を試したが、下地の黒の上に塗っても色素は見えなくなるため、断念した。
次に、光を制御することで色を付けられないかと考えた。タマムシの羽には薄い層がたくさんあり、いろいろな色の光がさまざまな向きに反射するため、きれいな虹のように見える。表面の微細な構造によって生まれるため、「構造色(こうぞうしょく)」と言われる。
実は、菊間瓦のように「いぶし光沢」を持つ瓦の表面にも、時折、さびのような「構造色」の変色が生まれることがある。鉄イオンが酸化してできる微細構造によるものだった。
そこで中村さんは、触媒などに用いる「硝酸鉄」の溶液を用いて、瓦の表面の光沢を変化させることを発案。溶液を瓦に塗り、乾燥させるだけで虹色に変化させることに成功した。菊間瓦の表面には炭素分子が幾重にも重なっており、そこに硝酸鉄を加えることで多層の膜で反射された光が干渉し合い、タマムシのように鮮やかに発色するという。
「菊間瓦の表面自体が外からの光を反射して『いぶし光沢』を生み出している。そこにアクセントとして色を加え、さらに差別化を図れるのではないか」と中村さん。特別な設備は必要なく、タイルなどバラエティーに富む商品化が期待できそうだ。
からの記事と詳細 ( ヒントはタマムシ いぶし銀の瓦が虹色に変身 愛媛県の研究員開発 - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
https://ift.tt/3gYcKpB
No comments:
Post a Comment