精神科医・森川すいめいさんの生きやすくなるヒント1
自身も身近な人を自殺で亡くした経験がある精神科医の森川すいめいさん。心の不調のケアを行う中で「どうすれば人の心はラクになるのか」を研究し続けています。「生きやすくなるためのヒント」を自殺予防の観点から考える全3回です。
問題を解決しても、心の不調は軽減しない
はじめまして。精神科医の森川すいめいです。みなさんの中には、健康やお金のこと、家族のことやご近所付き合いなどさまざまな悩みを抱えている方がいると思います。その原因はどこにあって、どうすれば解決できるのでしょうか。 今回の短期連載では、心の悩みを和らげて、もっと生きやすい毎日を送るためのヒントをお伝えできたらと思っています。 私は医師として、うつ病など心の不調を持った多くの人と接してきました。精神科医療では、主にその人の中にある原因を探り、ケアしていくことで、心の不調を改善しようとします。しかし、個人の中にある問題を解決しても、心の不調が軽減しない現実もよくあることです。 例えば、心の不調の原因と思っていた負債に関する問題が解決できても、自殺で亡くなるといったことです。私は自殺の予防は学んできたつもりでしたが、助けることができなかったことが何度もありました。 どうすればよかったのか、何ができたのか悩んでいたときに、自殺について研究をする岡壇(おか・まゆみ)さんという方の発表に出合い、ふっと心が楽になったように感じました。
生きやすさのヒントが隠された、日本一自殺で亡くなる人が少ない場所とは?
岡さんは、徳島県の海部町(かいふちょう・現海陽町)で研究を行っていました。ここは島を除くと日本一自殺で亡くなる人の少ない地域です。岡さんはこれを「自殺希少地域」と名付けました。これまで心の不調への原因に自殺の予防や解決法を求めてきたのとは逆に、自殺で亡くなる人の少ない地域の生活環境に目を向けたのです。 自殺の少ない地域と多い地域の生活環境を比較すると、少ない方には「自殺予防因子」が存在するという研究でした。 自殺予防因子とは、岡さんによる海部町の研究でわかった、自殺に至る機会を減少させる要因のことと考えるとわかりやすいかもしれません。人と人の関係における自殺予防因子を、町民たちはなにげなく実践し続けていることで、結果的に海部町は自殺で亡くなる人の少ない地域になっているというのです。 つまり、ここにこそ生きやすさのヒントが隠されているのではないかと考えたわけです。
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