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Tuesday, August 31, 2021

ギルトフリーなショッピングのヒントに。サステナブルな素材のお話。【#ChangeChallenge】 - VOGUE JAPAN

世界第2位のアパレル製品輸出大国のバングラデッシュ。首都のダッカには、約5000もの繊維工場があるとされており、大量の布切れや糸くずなどのゴミが、郊外の道沿いに不法投棄されている。Photo: Story Plus/Getty Images

過去20年で全世界の服の生産量は4倍も増え、日本では毎年約51万トンもの使用済みの服が廃棄処分になっています(2021年環境省)。さらに、労働環境問題、生産時の炭素排出量、水の使用量など、数多くの問題を抱えているファッション業界は、第2位の環境汚染産業だと言われています。ファッションが好きで、この業界に携わるひとりとして、この事実を重く受け止めなければなりません。

とても小さなアクションですが、私はまず、自分のショッピングの仕方を見直すことにしました。ファッションの消費において、一番サステナブルなソリューションのひとつは、古着やヴィンテージ品を購入すること。しかし、サイズ感や品物の状態が肝となるヴィンテージショッピングは、実際に手にとって確かめることが好ましく、コロナ禍になってからは、なかなか行けていません。さらに、この1年でもっぱらネットショッピング頼みになり、賢い買い物からどんどん遠のくばかり……。

だからこそ、新しいものを購入する際は、素材やブランドを下調べして、なるべく環境負荷を減らすことを心がけるようにしています。そこで、サステナブルな素材を起用している3つのアイテム&ブランドをご紹介します。

土に還る新素材を起用した、未来のエコバッグ。

2020年7月からレジ袋が有料となり、エコバッグが日々のマストアイテムになってから早1年と数ヶ月。私は、福井県の繊維製造メーカーのクナプラス(KNAPLUS)による、このプリーツバッグ「PLECO」を愛用中です。とうもろこしのデンプンからなる「ポリ乳酸」の生地を使用して作られており、植物由来の素材のため、カーボンニュートラルで、さらにコンポストすると自然と土に還るという画期的なものなのです。

クナプラス(KNAPLUS)によると、このバッグは素材の性質上、ヘビーユーザーだと約1年、使わなくても5〜6年で劣化がはじまり、いずれ破棄処分になります。とはいえ、レジ袋よりは遥かに寿命が長く、土に還るので、地球への負荷を軽減できることができます。温度57℃、湿度60%で加水分解が始まり、およそ2週間前後で土に戻るのだそうです。

また、「PLECO」は使用勝手も抜群。手のひらサイズまで収まるほどコンパクトで軽く、そして最大15キロまで持ち運べる耐久性も兼ね備えています。プリーツを広げるとPC(MacBook Pro 13インチ)もすっぽりと入るくらいの大きさで、通勤時のサブバッグとしても活躍しています。さらに、一つ一つが福井の職人によるハンドメイドというのもうれしいポイント。いずれ手放すこととなる“消耗品”ですが、アイテムの寿命までちゃんと計算尽くされた本当の意味での“エコバッグ”、ぜひチェックしてみてください。

世界最古のサステナ素材、「リネン」に注目を。

サステナブル素材というと、画期的なものだけではありません。紀元前8000(!)年頃から存在すると言われるリネンは、最も環境負荷の少ない素材のひとつ。そして、かなり取り入れやすい素材でもあります。

リネンの原料の亜麻の茎(フラックス)は、干ばつした環境でも短期間で勢いよく育つのが特徴的で、除草剤や化学肥料などの使用量も少ないため、水質染量も抑えられます。またフラックスは、繊維としての用途だけでなく、資材や肥料、調理用オイルなどにも有効活用ができるので、無駄が少ない素材でもあります。さらに、天然素材のため生分解が可能です。

リネンの1番の特徴は、製造時の水の使用量が比較的に少ないこと。例えば、コットン製のTシャツを1枚作るのに約2,720リットルもの水を要しますが、一方リネンシャツは、1枚約6.4リットルと、水の使用量を格段に抑えられます。水の使用量は、ファッション業界が抱える大きな問題のひとつで、エレン・マッカーサー財団によると、繊維製品の生産には年間オリンピックプール3,700万個分に相当する、約930億立方メートルの真水が使用されます。あまりにも大きな数値ですが、これを頭の片隅に置くことで、よりスマートな服選びを意識ができるのではないでしょうか。

数多くのリネンブランドの中でも、私がオススメするのは、ウクライナ発のスリーパー(SLEEPER)。洗うごとに柔らかくなるリネンの特長を生かしたフェミニンなシルエットがポイントで、2年連続で同ブランドのドレスを購入しています。すべて服は現地のシームストレスによってハンドメイドで作られており、トレーサビリティも配慮されています。また「外でも着られるパジャマ」というブランドコンセプト通り、着心地が良く、テレワークやステイホームの今にもぴったりです!

オーガニックコットンを選ぶ理由。

Photo: Kirstin Sinclair/Getty Images

最後にピックアップするのは、こちらも入手しやすいオーガニックコットン。従来のコットン(綿)自体、天然繊維のため、そのほかの化学繊維よりも環境負荷が少ないイメージがありませんか? しかし、コットンには「Dirtiest Crop on Earth(地球上で最も汚い作物)」という汚名が付き物で、その理由は綿花栽培時に使用される膨大な水、農薬及び殺虫剤の量にあります。特に、殺虫剤は、作物の中で最も多い量を使用しており、それは全世界の使用量の約16%を占めているのです(2012年WWF報告書)。これは環境汚染や水質汚染に繋がるだけでなく、人体に危害を加えることも明らかになっています。

オーガニックコットンは、トウモロコシなどの雑穀を殺虫剤代わりに使用し、牛糞や堆肥などの有機肥料で土を豊かにすることで育てられています。その結果、従来のコットンに比べて水質汚染を98%も抑えられるのです(2011年ウォータープリント報告書)。ほとんどのオーガニックコットンは小規模の農家で栽培されているので生産量は少ないですが、水の使用量も比較的少なく抑えられています。

デンマーク発のブランドのガニー(GANNI)は、コットンを使用する全アイテムをオーガニック製のものに切り替えつつ、自社が持つデッドストックのコットンも新コレクションに取り入れることで、従来のコットン製品を少しづつ軽減させるという取り組みを行っています。繊維別の報告書を作り、昨年に比べてどれほど向上したのかをブランドとして提示しており、消費者としてもその進歩を一目で確認できるのです。完璧な状態でなくても、改善に取り組む姿勢が決め手となり、上記のスナップフォトと同じ100%オーガニックコットン製のブラウスを購入しました。こうしたブランドの透明性を事前に把握することで、環境にも、自分にも心地よいショッピングに繋がると思います。

#ChangeChallenge

Text: Sakurako Suzuki

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