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Monday, December 27, 2021

記者がハッカソンに初参加、オープンデータ活用のヒントが見えた - ITpro

全2816文字

 「ハッカソンに出てみない?」――。友人らに呼びかけた一言から、人生初のサービス開発を経験することになった。参加したのは、東京都が主催する「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」。ゼロからサービスをつくる難しさを痛感すると同時に、思わぬ発見があった数日間になった。

 都知事杯オープンデータ・ハッカソンは、東京都が公開するオープンデータの活用促進を目的としている。東京都オープンデータカタログサイトには、現在4万5000件以上のオープンデータがあるが、利活用は不十分だという。同ハッカソン開催でオープンデータの活用を促すほか、オープンデータに対する意見をサービス開発者から集めるというわけだ。日程は2021年12月15~19日、参加者は5日間でサービスのプロトタイプを作成し、最終日に成果物を発表する。このハッカソンに向け、68件の提案と180人以上の参加者が集まった。

 参加して、気づいたことは2つある。1つ目は、短期間の開発においてデザインは極めて重要だということ。もう1つは、住民視点でのサービス開発では、積極的に使うオープンデータの種類が偏る可能性が高いということだ。

都知事杯オープンデータ・ハッカソンの様子。サービス案の設計について話し合うチーム

都知事杯オープンデータ・ハッカソンの様子。サービス案の設計について話し合うチーム

(チームメンバー撮影)

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「住むまで分からない」課題にフォーカス

 ハッカソンのお題は、東京都のオープンデータを活用し、「都の行政課題の解決に資するサービス案」を開発することだ。キックオフイベントに登壇した東京都の宮坂学副知事は「開発者の視点から、オープンデータについての提案や改善案などが欲しい」と話した。

 「行政課題と言われてもピンと来ないから、日々の生活で困ったことや欲しいサービスについてとにかく話してみよう」。新規サービスの立ち上げなどを手掛けているメンバーの助言により、ハッカソン前にオンラインミーティングの時間を設け、それぞれの「困りごと」を洗い出すことから始めた。

「身近な困りごと」をテーマにしたオンライン議論の画面。筆者のチームがブレインストーミングに使ったのは米Miro(ミロ)のオンラインホワイトボード「Miro」。アイデアをスムーズに整理できた

「身近な困りごと」をテーマにしたオンライン議論の画面。筆者のチームがブレインストーミングに使ったのは米Miro(ミロ)のオンラインホワイトボード「Miro」。アイデアをスムーズに整理できた

(筆者撮影)

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 アイデアで特に盛り上がったのは、「混雑」に関する話題だった。病院や図書館、電車、施設などでの人の出入りを表す人流データを活用し、リアルタイムでの人流を可視化するツールが欲しいという要望だ。

 また、地方から上京したメンバーならではの課題も挙がった。具体的には、住む場所の治安が「住むまで分からない」という問題だ。駅名などで検索すれば繁華街の雰囲気をなんとなく知ることができるが、定量的な情報がない。そこで、何かあったときにすぐ駆け込める交番やコンビニエンスストアなどの場所がどこにあるか、また町単位の犯罪件数などの安全性に関する指標がまとまっていれば、問題の解決につながるのではないかという意見で一致した。

 人流というリアルタイムで取得・確認できるデータの需要は高いといえるが、入手可能なオープンデータが無く断念。いくつか使えそうなデータがそろっていた町の安全性を可視化するサービスをつくることにした。

「可視化」のデザインパワーを実感

 そして迎えたサービス開発の初日、2021年12月18日。オンラインとオフライン双方からの参加が可能で、筆者のチームの一部は会場での開発に挑んだ。

 いざ開発を始めると、サービス設計の想像が全くつかない。いま一度会場に集まったメンバーでサービスのアーキテクチャーやUX(ユーザーエクスペリエンス)、機能、既存のオープンデータと照らし合わせた実現可能性について議論を始めると、その議論で用いたホワイトボードを基にデザイナーが瞬時にUI(ユーザーインターフェース)イメージをつくってしまった。それだけで一気に議論の内容が具体的になり、どんな画面遷移がよいか、欲しい機能、インターフェースは何かなど、次のステップが明確になった。

 この経験が、デザインの重要性という1つ目の気づきだ。サービスイメージをUIに落とし込むだけで、ここまで議論の内容が具体的に変わるものなのかと正直驚いた。欲しい機能や画面遷移のアイデアが全員に浮かび上がり、議論が加速した。その後は時間が嵐のように過ぎた。

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