ひまりのすてき時間割 井嶋 敦子 著、丸山 ゆき 絵
注意欠陥多動性障害と自閉スペクトラム症の特性を持つ、小学6年生の女の子・ひまりが主人公の児童書。「わたしの一日がもっとすてきになりますように!」と、朝から夜寝るまでの暮らし方をノートに書き記していく物語だ。今より生きやすくなるためのヒントがちりばめられた、小児科医でもある著者の応援メッセージでもある。
朝、学校の午前、学校の午後、夕方、夜の過ごし方を少しずつノートに書き、親友の真由に読んでもらう形で物語は進む。
ひまりは、頭を整理するために自分で「おまじない」を思い付く。例えば、朝は「くまとおて」。「薬」「周りの片付け」「トイレに行く」「おはよう」「手伝い」の頭文字を並べたものだ。朝起きてから順番通りやっていき、「ぜったいすてきな一日にするぞ」と気持ちを高めるのだ。
真由は、ノートを読みながら、肌が敏感で服のタグが苦手だったり、句読点がない作文を書いたりするひまりの特性を深く理解していく。ひまりのおまじないを知り「こんなこと考えつくなんて、ひまって天才」と褒め、自分用のおまじないを考える。ひまりを肯定的に捉える姿に、心が和む。
一方、担任の先生は真面目で、よくひまりをしかる。ひまりは、しかられ過ぎると「自分はダメな人間」と思い込み、うつ病になる場合もあると真由に伝えるが、終盤にかけ、先生との関係が少しずつ変わっていく気配が読み取れてほっとする。
ノートが完成したとき、ひまりは真由に「失敗する自分も自分だって、ありのままの自分を認めようよ。こんな自分もちょっと好きだなって」と言う。この言葉が物語の全てを言い表している。
著者は秋田市在住。日本児童文学者協会会員。(郁)
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童心社03(5976)4402=1430円。
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