著者はロシアの軍事・安全保障を専門とする東京大学の専任講師。以前から軍事関連の媒体ではよく知られた存在だったが、ウクライナ情勢の悪化とともに一般向けの場でも見かける機会が増えた。圧倒的な学識に基づく地に足のついた分析を、穏やかな語り口で述べる姿を記憶している人も多いだろう。
「刊行は1年前。2014年のウクライナ危機はあったものの、今のような状態は、誰も予想していませんでした。しかし本書の内容は、現在のロシアの行動を理解する上で、今でも示唆に富むものです」(担当編集者の山本拓さん)
冷戦時代と異なり、世界最強のアメリカに対して、もはや軍事力でも経済力でも劣位にあるロシア。それでも世界の脅威であり続けているのは、独特な世界観を元に、サイバー攻撃などの新たな形の戦術と、従来の戦力を組み合わせたハイブリッドな戦争を、常に西側諸国に仕掛けているから……。そのロシアの姿を、本書は膨大な資料を元に描き出してみせる。
「あとがきに『オタクと研究者の間で』とありますが、それがまさに著者の姿を示しています。観念的な考えに陥らず、軍事演習から見えてくる軍隊の配置や軍事費の配分といったディテールによって分析する。この冷静さが、切迫した状況だからこそ求められるのでしょう」(山本さん)
2021年5月発売。初版9000部。現在9刷9万1000部
からの記事と詳細 ( 発売は1年前だが…ウクライナ侵攻を読み解くヒントに富んだ、東大専任講師による“現代ロシアの軍事戦略”分析 - 文春オンライン )
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