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Friday, July 15, 2022

岡本太郎「本職は人間」 過去最大級の回顧展、時代を生きるヒントに - 朝日新聞デジタル

 大阪万博の「太陽の塔」や「芸術は爆発だ」の言葉などで知られ、今も幅広い世代を魅了する芸術家・岡本太郎(1911~96)の過去最大規模の回顧展が今月から来年にかけて全国3都市で開催される。人間・岡本太郎の全貌(ぜんぼう)に迫ろうとする企画で、不安定な時代に力強く生きるヒントを得る機会となりそうだ。

 「本職? 人間だ。」

 岡本がかつて語っていたその言葉が、「展覧会 岡本太郎」のキャッチコピーとして人々に訴えかける。

 絵画や彫刻、数々の著作、テレビ出演――。多岐にわたる表現活動から「何が本職なのか?」と問われることが多かった岡本太郎。その答えが「人間」「全存在として猛烈に生きる人間」だった。

 だから、展覧会名は「岡本太郎展」ではなく、ずばり「岡本太郎」だ。

 企画・開催に関わる岡本太郎記念館(東京)の平野暁臣(あきおみ)館長(63)は「展示空間を通して岡本芸術を感知する体感型の展覧会になる。人間・岡本太郎に会いに行くような感じで来てもらいたい」と語る。

大阪、東京、愛知の3都市で開催

 展覧会は、大阪中之島美術館(7月23日~10月2日)▽東京都美術館(10月18日~12月28日)▽愛知県美術館(2023年1月14日~3月14日)の3会場で開催される。

 大規模な回顧展は過去に1度、生誕100年の11年に東京国立近代美術館で開かれただけだ。大阪、名古屋では初開催となり、「多くの人にとってはじめての『TARO体験』が待っている」と平野さん。

 展覧会には、川崎市岡本太郎美術館所蔵の「傷(いた)ましき腕」(1936年、49年再制作)や「森の掟(おきて)」(50年)といった代表作が勢ぞろいするだけでなく、あまり知られていない晩年の作品も紹介。岡本芸術の全体像を体感できる。このほど見つかった、岡本が20代前半ごろにパリで描いたとみられる抽象画3点も公開されるという。

 また展覧会に合わせ、岡本太郎記念館では「岡本太郎の1世紀」(7月20日~11月20日)を開催する。84年にわたる芸術人生、没後の様々なプロジェクト、同館の活動を一覧する。

 岡本太郎のアトリエ兼住宅だった同館には連日、幅広い世代の人がやってくる。館内に置いてあるスケッチブックには、「エネルギーをもらいました」「壁にぶつかったらまた来ます」といった感想が書き込まれている。

 平野さんは「太郎について、もはや芸術家ではなく、人生の伴走者と認識していることがよくわかります」と話す。岡本太郎という存在はいまも、多くの人の中で、生き続けている。(石平道典)

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