気象庁が発表した9~11月の3カ月予報によると、平均気温は東日本と西日本、沖縄・奄美で高く、高温は10月まで続く見通しだ。東京都心(千代田区)ではこの夏、最高気温35度以上の猛暑日の日数が過去最多を更新した。暑さを少しでも和らげるにはどうしたらよいか。最高気温が40度を超えることも珍しくないインドの「食」からヒントを探った。
「これを飲むと熱中症を防ぐことができるの」。東京都江戸川区にある静かなインドレストランの一角で、来日5年のシン・シカー・ソーナルさん(36)が白い飲み物を勧める。記者が口にすると、少し塩気があって飲みやすく、独特のハーブの香りが鼻を刺激する。ヨーグルトにクミンと岩塩を入れた「チャーチュ」だ。
江戸川区には都内在住のインド人の3割超が暮らす。シンさんら区内の在日インド人らでつくる「江戸川インド人会」のメンバーによると、暑い時期は「チャーチュ」のほか、牛乳にバジルシードを浸した「サブジャシーズ・キール」もお薦めという。バジルシードは水分で膨らみ、タピオカのようなプチプチした食感と甘みで、子どもにも人気があるという。
いずれも体内の熱を外に出したり、消化を助けたりする作用があり、朝食に好んで飲まれる。「暑い日に水を飲む時は、私たちは必ずスパイスなど他の物を入れて飲むようにしている」。「江戸川インド人会」会長のジャグモハン・チャンドラニさん(70)は力説する。
チャンドラニさんによると、インドの暑さ対策には「冷やすのではなく、熱を体から逃がす」という考え方がある。根本にあるのは伝統的な自然医療「アーユルベーダ」だ。「生き方の教え」という意味がある。
健康や生活環境を改善するため、自然界に存在するものを生かすアーユルベーダ。暑さ対策の場合、食欲増進や体の熱を出す効果があるとされるクミン、バジルシード、フェンネルシードといったスパイスやタマリンドという果物が用いられるという。
日本の気象庁のホームページによると、インドでは、1日の最高気温の月平均が首都ニューデリーで今年4月に40・2度、西部アーメダバードで5月に42・6度をそれぞれ記録した。乾燥した熱風が吹き付けるインドと湿気の多い日本は環境が異なるものの、チャンドラニさんは「(アーユルベーダの考え方は)日本でも十分通用する」と力を込める。
スパイス料理研究家でタレントの印度カリー子さんは「体から熱を逃がすことで暑さ対策とするアーユルベーダの考え方は一理あります」と指摘する。その上で「クミンやタマリンドには暑さに負けずに食欲を増進する作用があると考えられ、私も料理に入れます」と話している。【加藤昌平】
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