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Saturday, July 22, 2023

教えない父が与えたヒント 少年富樫勇樹が身につけたシュートと ... - 朝日新聞デジタル

 一枚の写真がある。2歳くらいの男児が、おもちゃのバスケットボールリングにボールを通している様子を切り取ったものだ。

 シュートフォームの完成度が高い。背筋を伸ばし、ワンハンドだった。

 バスケットボールの男子ワールドカップ(W杯)で日本代表主将を務める富樫勇樹(29)の幼児期の姿に、父・英樹さん(61)は驚いた。教えた記憶はまったくない。

 思い当たるのは、指導のために集めたNBAや高校生らのプレーを収めたビデオテープだった。

 昨冬のウインターカップを制した開志国際高バスケ部監督を務める英樹さんは言う。「私が見ているのを見ていたからでしょうか。小学生のころには、私が日中いない間も見ていたんだと思います」

 現職の前は、新潟県内の公立中で長く指導し、全国優勝も経験した。「指導者として子どもたちを見ているだけに、普通じゃないなというのは感じていました。何より感性が違った」。まだバスケットを始めて数年の子どもたちの才を磨く身としても、勇樹には目を見張った。

 「子どもって、できないとすぐ飽きるじゃないですか。でも、勇樹はゲームをねだったこともなければ、勝手にボールを触ってやっている。やっぱり変わってました」

 とっぴなパスコースに、目線や体全体をたくみに使ったフェイント。小学4年生のときには、6年生を圧倒する勢いだった。ただ、2学年の体格差は大きい。勇樹のシュートはたびたびはじかれた。

 普段から会話はなく、「バスケで教えたことは何もない」という英樹さんが、このころに勇樹にヒントだけを与えた。

 食卓を囲みながらぽつりと伝えた。

 「シュートのタイミングをず…

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