モノマネでブレイクして以降、役者業を中心にボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する片岡鶴太郎さん。「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない!」とおっしゃる鶴太郎さんが“人生後半”の生き方を教えてくれる幻冬舎新書『老いては「好き」にしたがえ!』より、老いに負けない極意を抜粋してお届けします。
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「好き」「できた」に期限なし
会社で働くことや仕事には期限がつきものですが、好きなことや趣味の世界においては、期限がありません。とことんやればやるほど、世界を広げることができますし、お金を稼ぐこと以外の喜びが得られるでしょう。新しいことを知ったり、できるようになったりするたびに、きっと子供の時のように嬉しくなりますよ。
私自身、例えば三線でまったくできなかった一曲を弾けるようになった時の歓喜はすごいものです。くじけそうになった時やちょっと弾けて嬉しかった時などこれまで積み重ねてきたいろいろな感情が、完成した時の歓喜によって完結する。これは自分だけのもので、他人は関与できない喜びです。
何かを始めるのに遅いということはありません。第2章でもお話ししますが、最近私は、顔面改造や古着ファッションを楽しむことに目覚めました。
好きなことに時間を使えれば、何歳になっても楽しく過ごせます。目一杯頑張った先では、もしかすると自分の食う分くらい、稼げるようになるかもしれませんよ。
余計な悩みを取り除き、なるべく健やかな精神を保てれば、心のシードが送っているサインに気づけるようになります。好きなことは頭で考えるものではありません。自分の魂が求めていることに気づくと、おのずと「これがやりたいんだ!」という強い思いが生まれるのです。
子供の時の「好き」が、やりたいことのヒント
悩みがちな時は、「好きなことをやってみる」というのも一つの手でしょう。「その“好きなこと”がわからないから困っている」と言う人もいるかと思います。特に定年を迎えて会社勤めを終えた方は、そこからやりたいことや生き甲斐を見つけようとする方が多いと聞きますから。
好きなことは誰にでも絶対あります。ただ、アンテナを張り巡らせていないから、出合っているのに気づかなかったり、これまでアンテナを切っていて見落としていたりするだけ。
思い出してみてください。子供の頃は、「あれが好き」「これが好き」と言って、さぞ親御さんを困らせていませんでしたか? 私もそのひとりでした。
子供の頃に好きだったことを思い出してみましょう。他の子がやっていてうらやましかったこと、親に止められるまでやっていたこと、大人になったら誰にも止められずに好きなだけやりたいと思っていたこと……。
私にとって、10代で芸人を目指したのも、まさにそれです。子供時代にトークを武器に女性を笑わせる芸人さんを見て、「カッコいい! これ、やりたい!」と心が突き動かされた。その後、30代でボクシングに打ち込むことになったのはいろいろな理由が重なっていますが、その一つは、お笑いと並んで子供の頃から憧れていた世界だったからです。
大人になるにつれ、「好きなことよりこっちのほうが儲かる」と考えたり、好きなことに進んだとしても、生業として成り立たせなければならないプレッシャーを感じたりして、気がつけば自分の好きなことから遠ざかってしまった方もいるでしょう。だからこそ一度、我儘を言っていた子供時代を思い出してみると、自分が本当は何が好きだったか、思い出すためのヒントになると思います。
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