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Saturday, May 4, 2024

資本主義を乗り越えるヒントは人類学が知っていた…100年前、パプアニューギニアで行われていた「衝撃の贈与 ... - 現代ビジネス

(PHOTO)gettyimages

2024.05.05

「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。
※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。

「クラ交易」とは何か

「社会の骨組みを明確にするだけでは不十分だ。参与観察に基づき、現地の人たちのありふれたやり取りも引っぱりだせ!」という至言にたどり着いたマリノフスキは、それを自らのモットーとして民族誌を書き上げました。『西太平洋の遠洋航海者』は「骨組み」と「血肉」が織り交ぜられた、みごとな民族誌に仕上がっています。

そんな中でも白眉と言えるのが、トロブリアンド諸島における「クラ交易」の描写です。そもそもクラ交易とは、トロブリアンド諸島、ウッドラーク島、ミシマ島、ノーマンビー島、ニューギニア島、ファーガソン島などを舞台に、ニューギニア島の東に広がる海域の島々を結ぶ交換の制度を指します。

このクラ交易で交換されるのは、上から見て時計回りに島々をまわる「赤い貝の首飾り(ソウラヴァ)」と反時計回りに島々をまわる「白い貝の腕輪(ムワリ)」です(上写真)。この2つのモノは、現地の人々にとってかけがえのない価値を持つ財宝(ヴァイグア)なのです。クラ交易とはつまり、ヴァイグアが地図に示した島々を行き交う儀礼的な贈物交換の体系なのです。

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クラ交易には、いくつかの特徴があります。例を挙げると、まず、それぞれの財宝の交換は同時ではなく時間をあけて行われること。財宝を受け取るときは、もらう側の人間が相手の住むところまで出向いていかなければならないこと。どんなに大変な思いをして財宝を手に入れても、それを「自分たちのもの」として所有してはいけないこと。ヴァイグアは2年から10年の時間をかけて島々をゆっくり一周させること、などです。

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