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Monday, June 10, 2024

廃棄米利用の新ペーパー 浮世絵ヒントに発色性を向上 - 日経クロストレンド

オリジナルの紙などを製造・販売するペーパル(奈良市)はフードロス削減を狙い、廃棄米とパルプからつくる新しい紙「kome-kami 浮世絵ホワイト」(以下、浮世絵ホワイト)を開発。2024年3月に発売すると、多くの企業から引き合いが来たことを明らかにした。廃棄米による紙は以前からも製造・販売してきたが、浮世絵ホワイトは発色性を高めた点が特徴。新市場の開拓につなげる。

「kome-kami 浮世絵ホワイト」(以下、浮世絵ホワイト)の印刷面には、鮮やかな発色と上品なきらめきが見られるという

「kome-kami 浮世絵ホワイト」(以下、浮世絵ホワイト)の印刷面には、鮮やかな発色と上品なきらめきが見られるという

パッケージに使用した場合のイメージ。上はブルーとイエローで、下はピンクとグリーンを使い、浮世絵の絵柄のようにしている

パッケージに使用した場合のイメージ。上はブルーとイエローで、下はピンクとグリーンを使い、浮世絵の絵柄のようにしている

 廃棄米を再利用する紙として、ぺーパルは2021年2月から「kome-kami」を販売し、改良してきている。ただ、kome-kamiは生成りがかったナチュラルともいえる色で、印刷すると落ち着いた発色となる紙だった。そこで印刷した際に鮮やかな発色が出るようなkome-kamiをつくれないかと研究し、試行錯誤した結果、生まれたのが浮世絵ホワイトだった。

白さを生かし、様々な色合いを表現できる浮世絵ホワイト

白さを生かし、様々な色合いを表現できる浮世絵ホワイト

「kome-kami」は、ナチュラルといえる色合いの紙だった

「kome-kami」は、ナチュラルといえる色合いの紙だった

 発色性を向上させるには、紙の表面に薬品を塗工することが一般的だ。今回は薬品の一部をなくし、廃棄米を原料にした素材に代替した。これをkome-kamiに塗工して印刷すると、鮮やかな発色が見られた。製造時のCO2排出量の削減にもつながるという。廃棄米からつくった今回の新しい薬品を、ぺーパルは「コメグロス」と呼んでいる。

浮世絵ホワイトの製造工程で「コメグロス」を塗工している様子

浮世絵ホワイトの製造工程で「コメグロス」を塗工している様子

 「江戸時代の浮世絵は、鮮やかな色彩で海外の芸術家にも“ジャポニズム”としてインスピレーションを与えたが、浮世絵の発色を良くするために、紙に米粉を添加していたことがあった」とぺーパル取締役の矢田和也氏は話す。

 「日本の伝統を受け継ぎ、現代の印刷や加工の技術で今回、白くて美しい発色を実現できたことから『浮世絵ホワイト』と名付けた。上品なきらめきまでも表現できる。サステナビリティー(持続可能性)時代の新たな“ジャポニズム”を起こし、デザインに新たな表現力と可能性を広げたい」(矢田氏)

 これまでぺーパルがつくってきた紙には、kome-kamiや浮世絵ホワイトだけでなく、廃棄ニンジンからつくった「vegi-kami にんじん」などもあり、サステナビリティーに取り組む多くの企業から注目されてきた。ペーパルは、これらの紙の売り上げの1%をフードバンク推進団体に寄付しており、社会貢献活動を支援している。

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