リフレッシュといえば...。
そうそう、いつもよく働いているガジェットたちも、やっぱ、ときどきリフレッシュが必要なんですよね...なーんて話ではありません! リフレッシュレートはディスプレイの画質を考えるうえで、実はとても大事な概念なんです。そのリフレッシュレートについてとガジェット購入時のポイントを、米Gizmodoのガジェット博士Sam Rutherfordが指南してくれています。
ディスプレイ付きのガジェットを選ぶとき、どこを見て決めていますか? 画面のサイズ(何インチとか)、解像度(264ppiとか)、表示色(1677万色とか)ですよね。でも、リフレッシュレートはチェックしてますか? 実は、ディスプレイ選びでいちばん大切なポイントなんです。しかも、最近はその重要度が増しています。
リフレッシュレートは、テレビとかゲーム用モニターといった電子機器を買おうとするときは、それなりに参考にされていますが、ノートPCとかタブレット、スマートフォンになると、めったに話題にもなりません。でも、最近は考えないといけないケースが増えています。
リフレッシュレートとはなんぞや?
まず、そもそもリフレッシュレートとは何かから説明したほうがよさそうですね。思い切り単純化して言うと、その名前から想像できるように、画面がリフレッシュ(更新)される、つまり画面上の画像がかき換えられる速度のことです。これが特に重要になるのは、スポーツ中継(特に、動きの激しい場面)を見るときや、テレビゲームで敵をいち早く目視しようとするときです。Excelのシートを編集するとか、ウェブサイトを閲覧するくらいなら、あまり気にする必要はありません。
リフレッシュレートは、ヘルツ(Hz)で表されます。つまり1秒間にリフレッシュされる回数ということ。これが60だったり240だったりします。テレビでもモニターでも、スマートフォンなどのガジェットでも、技術的に細かい点を除けば原理は同じです。
リフレッシュレートが高い、つまりリフレッシュが速いほど、おおむね高性能です。画面の反応が速いということだからです。ただ、それだけ高価になり、技術上のハードルも高くなります。メーカー各社が、それなりの理由がない限り(しかも、高くても売れそうだと見込めない限り)ディスプレイのリフレッシュレートを引き上げない理由は、ここにあります。
高リフレッシュレート≠高画質
それに、リフレッシュレートが高いほど画質が良くなるとも限りません。私たちの目に見える画質は、ディスプレイ自体の特性だけでなく、画面に映っている内容にも左右されるからです。毎秒60フレームの映画は、メーカーが採用している他の技術によって、60Hzでも120Hzでも似たり寄ったりになります。
しかし、ソース映像の1秒あたりフレーム数(fps)が大きくなると、たとえば家庭用ゲーム機などでは、このHz数つまりリフレッシュレートがものを言うようになります。PC用のモニターでは、最上位機種になると、最大で240Hzまで設定できる機種があります。PCでは、最高クラスのfpsでの出力が必要になるからです。そのくらい高くなれば、リフレッシュレートが低いディスプレイより、何分の1秒かでも速く敵を発見できるようになるわけです。
ポイント:リフレッシュレートがfps値の整数倍かどうか
もう少し技術的に詳しく説明すると、重要なのは、Hz値がfps値の整数倍になっているかどうかです。動画コンテンツの多くは24fpsなので、リフレッシュレート144Hzには適します(6倍なので)が、60Hzには適しません(2.5倍なので)。60Hzの画面に写すと、フレームごとの表示時間をハードウェア側で調整しなければならないため、見た感じの画質は粗くなってしまいます。
先日発表されたディスプレイ「Apple Pro Display XDR」は、かなり値が張り、垂涎もののスペックが満載ですが、リフレッシュレートは最大でも60Hzです。そのままでは、ゲーム用には使えそうにありません(ただし、LEDバックライトは10倍のリフレッシュレートで動作し、滑らかで安定した画質を確保しています)。
各社が使う独自の用語に注意
メーカー各社は、製品のイメージを良くしようとして、勝手な技術用語を使ったり、データをぼやかしたりしがちです。そのせいで、リフレッシュレートという用語もちょっと扱いが厄介になっています。たとえば、リフレッシュレート120Hzのテレビが2種類あったとして、Netflix(最大60 fps)のコンテンツの画質が同じように向上するとは限らず、映像がクリアになるとは限らないということです。このテレビ2種類を厳密に比べるには、スペックをさらに細かく分析しなければなりません。
テレビのカタログを見ると、TruMotion(LGエレクトロニクス)、Motion Rate(サムスン)、MotionFlow XR(ソニー)とそれぞれ違う用語が使われています。が、これは全部、なんらかの付加技術によってリフレッシュレートをデジタル的に高くする機能です。もちろん、こういった補強機能が悪いとか無意味だと言いたいわけではありません。ただ、どんな製品にしても、ディスプレイの画質を比較するときには、実際の、本来のリフレッシュレートもチェックしたいということです。
なかには、欠損を補うためにフレームを補間するテレビもあります(1秒あたりのリフレッシュを、60回ではなく120回にできる)。黒フレームを挿入するテレビもあり、これも画面の甘さを小さくするには効果があります。最終的な画質は、リフレッシュレートだけでは決まらず、テレビのオンボード処理技術でどうやってコンテンツをそのリフレッシュレートに変換しているのかで左右されるということです。
VRとリフレッシュレート
リフレッシュレートは、仮想現実(VR)でも大切な要素です。目の前にある画像が描き換えられる速度が速いほど、いわゆるVR酔いにはなりにくくなります。PC接続型とスタンドアロン型でVRヘッドセットに差がつく要因のひとつも、ここにあります。PC接続型のほうがリフレッシュレートが高く、たとえば最新の「Oculus Rift S」は80Hzです。
スマートフォン&タブレットとリフレッシュレート
画面を描き換える速さは、スマートフォンやタブレットでも重要になってきました。モバイルゲームや、「Apple Pencil」のようなアクセサリーがどんどん高機能になっているからです(ペンの場合、描き換えが速いほどデジタルインクの反応も速くなります)。
たとえば、「Razer Phone 2」はどうでしょう。リフレッシュレート120Hzの画面が大きい売りになっています。理論的には、ビデオもアニメーションもゲームも超きれいに動くはずですが、注意する点はテレビの場合と変わりません。画面に映る内容しだいであり、画質向上(必要だとして)の機能がどのくらいかによって異なります。今のところ、120Hzにネイティブ対応しているのは、Android用ゲームの一部だけです。
iPhoneとiPad Proのリフレッシュレート
注意が必要なのは、最新の「iPhone」でしょう。タッチ操作のサンプルレートは120Hzですが、表示は60Hz、つまりタッチ入力は毎秒120回の感度ですが、画面描画はその半分だということです。一方、最新型(2018年モデル)の「iPad Pro」はリフレッシュレートが真の120Hzなので、Apple Pencilを使った素晴らしい描写に対応するだけでなく、スクロールもスムーズになっています。
高リフレッシュレートスマホ「OnePlus 7 Pro」
「OnePlus 7 Pro」も、最大で90Hzと平均より高いリフレッシュレートが話題になっています。メニューの動きも、スクロール動作も流れるようで、さすがに違いは一目瞭然です。ハイエンドのフラグシップ機種としては際立っており、今後しばらくは目玉になりそうです。
要するに、どんなガジェットを買うときでも、無視していいスペックはないということですね。
2019-07-19 11:00:00Z
https://www.gizmodo.jp/2019/07/why-refresh-rate-is-one-of-the-most-crucial-specs.html
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