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Thursday, December 19, 2019

東西冷戦を描いた漫画家2人が語り合う「成功した社会主義」の可能性 - 現代ビジネス

「資本主義」と「社会主義」のイデオロギーが世界を分断した東西冷戦。その象徴である「ベルリンの壁」が1989年11月9日に崩壊してから、今年で30年が経つ。一方、世界各国では大衆迎合主義とも訳される「ポピュリズム」が跋扈している。東西分裂とは何だったのか、イデオロギー闘争とは何なのか――。

このほど、時を同じくして、東西分裂を描いた漫画を連載中の池田邦彦氏(『国境のエミーリャ』/小学館刊)、宮下暁氏(『東独にいた』/講談社刊)が語り合う。

(取材・文/往来堂書店 三木雄太)

いけだ・くにひこ/1965年生まれ。東京出身。鉄道関連を中心にイラストレーター&ライターとして活躍。2009年、モーニング誌(講談社)掲載の『カレチ』にて連載デビュー後は漫画家として活躍。『甲組の徹』『グランドステーション』『山手線ものがたり』『シャーロッキアン!』など、鉄道をテーマにした作品を中心に著作多数

みやした・あきら/第78回ちばてつや賞<ヤング部門>で準優秀賞新人賞を受賞。『東独にいた』が初連デビュー

「東西分裂した東京」という構想

池田さんは新連載『国境のエミーリャ』で、東西に分断された1962年のトウキョウを舞台に、東から西への脱出請負人を主人公とした作品を描いています。この作品のきっかけはどんなものだったんでしょうか。

池田:最初、小学館の担当さんが持ってきてくれた企画は食堂車の漫画だったんです。それも良かったんですけど、そうすると「また池田が鉄道ものを描いてるわ」ってなるなと。それで、こんなやつ考えてるんですけどと逆に提案をしたところ、興味をもっていただいたのが『国境のエミーリャ』でしたね。

その時点ではもう時代背景や資料にはあたりがついていたんですか?

池田:東側陣営の資料というよりは1960年代東京の資料をたくさん集めていましたね。手元の資料たちをスタート地点に、史実とは異なる架空の60年代の東京を作るとしたら…といった発想からはじまって。

1960年代の社会というと、キューバ危機とかごりごりやっていたあたりです。私は1965年生まれなのだけど、私たちが子供の頃は「また水爆戦争になる」みたいな内容のテレビ番組がよく流れていましたね。

フィクションでもよくありました。ミサイルが落ちてきてそれ以降の世界みたいなものを描いた作品が多かったです。冷戦という世界のことを身近に感じる機会だったのかもしれません。

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