AI技術によって実に約30年ぶりに“復活”した「漫画の神様」手塚治虫さんの新作漫画『ぱいどん』。漫画は前編、後編に分かれており、その後編が3月31日に公開されることが公式ツイッターで19日、発表された。『ぱいどん』は2月26日に東京・講談社でお披露目イベントが開催され、同月27日発売の週刊漫画誌『モーニング』(講談社)に前編が掲載された。前編は現在、公式サイトで公開されている。
『TEZUKA2020』と名付けられたプロジェクトは「もしも、今、手塚治虫が生きていたら、どんな未来を漫画に描くだろう?」という思いから、手塚さんの遺した膨大な作品をデータ化し、キオクシアの高速・大容量フラッシュメモリと先進のAI技術を駆使して、30年ぶりに新作を発表するというもの。
漫画の主人公は、2030年の東京で、進んだ管理社会に背を向ける男・ぱいどん。記憶をなくしたホームレスだが、小鳥ロボットのアポロとともに事件を解決するべく立ち向かうというストーリー。
制作手順としては、手塚さんの作品をデータ化し、AI技術がストーリーとキャラクターの視点で「手塚治虫らしさ」を学習。その結果を人間がAI技術にフィードバックして磨き上げ、AI技術が生成した“漫画のタネ”をインスピレーションソースにして、クリエイターたちが発想を広げて新作を完成させた。
手塚さんの息子でビジュアリスト・手塚眞氏は、2月のお披露目イベントで「手塚治虫が亡くなってもう31年経つ。ファンから『手塚先生の新作は読めないんですね』と言われ、残念な気持ちでいっぱいだった。この話を持ち掛けられ、すてきな話だなと思うのと同時にそれは10年以上かかると思った」と本音を吐露。予想以上の早さで新作漫画が誕生したことについて「まさに手塚治虫の漫画の中のよう」と目を輝かせていた。
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