元カノ×元カレの“やり直し”を描いた恋愛漫画『往生際の意味を知れ!』の単行本1巻が6月30日に発売されました。ねとらぼでは作者の米代恭さんと担当編集の金城さんにインタビューを実施。不倫×SFをテーマにした前作『あげくの果てのカノン』から二人三脚で作りあげてきた2人が「関係解消寸前だった」という誕生経緯など、連載にまつわるエピソードをたくさん聞きました。全2回、出張掲載付きでお届けします。 【画像】漫画を読む
「往生際」にたどりつくまでに、13本違う話を描いた
――この度は『往生際の意味を知れ!』1巻発売おめでとうございます。発売日には、「待ってた!」という声をたくさん見かけました。 米代:本当に『あげくの果てのカノン』を応援してくださっていた皆さんは、めちゃくちゃお待たせしましたよね……。ありがとうございます。 ――地球外生命体と戦う戦闘員であり、既婚者である先輩に、恋焦がれ続ける主人公・カノンを描いた前作『あげくの果てのカノン』。惜しまれながらフィナーレを迎えたのが2018年2月でした。「往生際」の連載スタートは2020年2月なので、ぴったり2年たってますね。一体どのように過ごしていたんでしょうか? 米代:率直に言うと、「カノン」の連載を終える時点で「すぐに週刊連載をやろう!」と決めていたのに、新作のネームがどうしても描けなくて、2年たっていました。 ――率直にありがとうございます。作品を生み出すのは本当に大変なことだと思うんですが、2年は長いですよね。 米代:長かった……。最初は描けると思っていたんですよ。題材を決めて現地取材にも行ったりして。でも1話のネームが描けてもそれ以上思いつかなくて自分でボツにしたり、担当編集の金城さんからボツが出たり、取り組んでいるうちに「このテーマ、興味ないかも」と思えてきたりと、とにかくいろんな理由で前に進まなくなりました。「往生際」にたどりつくまでに、13本くらい違う話を描いたんじゃないかな。一つ一つの描き直しを含めたら、もっともっと描いてますけど。その間に、2度は「もう金城さんじゃない人とマンガ作る?」みたいな話も出ました。 ――それはハードでしたね。 米代:この2年、ずっと自分を見失っていて、何が面白いかもわからなくて。自分が好きだった作品を見返して感想を書いたり、自分の内面をひたすらノートに書き出してみたり。とにかく自分が「面白い」と思うものを、必死に集める日々でした。 ――ボツになったネームには、どんなアイデアがあったんですか? 米代:かなり初期は「30歳処女と14歳天才の入れ替わりもの」というアイデアがありました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)に取材させてもらって、とっても面白かったんですが、「こんな清らかな人たちを描くことはできないかもしれない……」と思ってしまって。 ――そんなに清らかだったんですか(笑)。 米代:とてつもないエリートなのに皆さん、ものすごい気さくで、あれこれ教えてくださって。「カノン」にもSF要素はありましたが、そこまで綿密な設定があったわけではないんですね。それで、改めて宇宙ものの漫画や映画などもいろいろ観たのですが、理論がきちんと理解できなかったのも、描けなかった一因ではあります。でも、一番大きかったのは、あれこれ観ているうちに「宇宙に比べると、私の描きたいことってものすごい些細(ささい)だな」という気持ちになってしまったことでしょうか……。「カノン」もそうですけど、私が大きく興味関心を持っているのが「半径5メートル以内のウダウダした人間関係」なので。 ――わかりやすい (笑)。描きたいことが見えたら、「よし! やっぱり人間関係だ!」と振り切れる気もするのですが、すぐうまくは行かなかった? 米代:行かなかったんですよねえ……。正直に話すんですけど、当時リアルな人間関係で非常にメンタルを揺さぶられる出来事があったんです。ある人をものすごく好きになったんだけど、全くかみ合わなくて、ものすごい怒りを抱いて終わったという。「カノン」を描いたときは恋愛にまだ憧れを持てていたのですが、その経験によって「恋愛」や「人間関係」に対してとてつもない敗北感を持ってしまったんですね。「半径5メートル以内の人間関係」を一番面白いと思ってるはずなのに、それをどうやって描いていたのか全くわからなくなってしまった、というのがスランプの経緯でした。 ――なるほど……。 米代:金城さんも当初は、かなり気遣ってくれていたんですよ。それでも、思った以上に描けない期間が長くなってしまって……。「週刊連載をやろう!」という決意があったからこそ「カノン」をあそこで終わらせたという流れもあったので、かなりしんどかったですね。
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July 04, 2020 at 06:00PM
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「7年間忘れられない元カノと何としてでもやり直したい男の漫画」はなぜ生まれたか 米代恭が13本のボツから「往生際」にたどり着くまで(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース
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