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Thursday, August 13, 2020

【道標 経営のヒント 247】一瞬の出会いの中で タグ広告プランナー 宮坂 登 - 観光経済新聞

 約30年前。日本武道館。コンサート開始前。スピーカーからは雨音や風の音、鳥の羽音やさえずりが効果音として流れている。偶然隣り合わせた方と目が合い、会話を交わし始めていた。「君はどんな仕事をしているの?」と尋ねられ、「広告制作です」と答えたところ、「僕も君と同じようにクリエイターなんだ。今日のコンサートはちょっと見ものだよ。君の今後の仕事人生にもきっと役立つと思うよ」という言葉をいただいた。その横顔を見ていたら、日本を代表するファッションデザイナーさんだと気づいた。

 突然、ステージが暗転してシンセサイザーの音色がその効果音にかぶさるようにフェイドイン。それとともに大歓声が響き渡る。ステージ中央には映像が流れる巨大な円形スクリーン。演奏が始まる。バリライトというコンピュータ制御の照明群が、曲調とシンクロして生き物のように空間を動き回り、聴衆を幻想の世界へと誘う。レーザー光線やスモークの演出にも目がくらむ。圧倒的な音量のロックミュージックに心身が震える。演奏しているのは、世界に冠たるバンド、ピンクフロイド。コンサート演出の巧みさはうわさには聞いていたが、これほどとは。隣のファッションデザイナー氏も「これはすごい!」と実に楽しそうだった。

 巨大な豚のオブジェが宙を舞う大がかりな演出にも度肝を抜かれた。ラストではステージ下から巨大なミラーボールがせり上がり、さらにその中からもう一つのミラーボールが現れ、割れるとともにまばゆいほどの光が天井に星空を映し出す。アンコールではまるで光の洪水。強烈すぎるほどの光の乱舞と演奏。あまりの素晴らしさに放心していると、「どうだい! 単なる音楽ではなくて、素晴らしいアートになってるだろ!」と氏が興奮を隠さず、耳もとで怒鳴った。「また、どこかで! 本物を追求するクリエイターを目指してね!」という言葉とともに去っていった氏の後ろ姿を思い出す。

 その後。ことあるごとに氏の活躍に注目していた。強烈な色彩感覚。世界的なミュージシャンへの衣装提供も話題になった。演劇やコンサート、ファッションショーを盛り込んでプロデュースされた舞台も鑑賞した。光や音楽を駆使した演出も圧倒的だった。「ファッションはお祭りだ!」とおっしゃっていたが、驚きをいつも世の中にもたらしてくれたアーティスト。型破りな人。その方と肩を並べて驚喜したコンサートは宝物の時間。そのときの笑顔、励ましが心の中に残っている。ありがとうございました! 山本寛斎さん。忘れません。

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August 13, 2020 at 10:00AM
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