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Saturday, February 3, 2024

子どもが「宇宙」にグングン興味を広げるヒントとは? 本間希樹さんインタビュー<前編> - マイナビ子育て

将来理系に進むかどうかはさておき、子どもには宇宙に興味を持ってほしい……。そんな願いを心密かに抱いているママは多いのでは? あるいは子どもが宇宙に関心を持ち始め、その好機を逃したくないと考えているママもいると思います。今回はそんなママに代わり、子どもの宇宙への興味を広げるヒントを、天文学者の本間希樹先生に伺いました!

Lazy dummy

お話をしてくださった方
本間 希樹 先生
(国立天文台水沢VLBI観測所所長・教授)

お話を伺ったのは、当サイトでおでかけ記事を連載中のあゆーやです。

将来にもつながる子どもの「好き」を見つけよう

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――宇宙の謎を解き明かす天文学者としてご活躍されている本間先生。先生が「宇宙」に興味を持ったのはいつごろ、何がきっかけだったのでしょう?

本間希樹先生(以下、本間) 僕が小学3、4年生のころのときですね。家にあった図鑑や天体写真集にキレイな写真がいっぱい載っていて、それを見て宇宙に興味を持ちました。夜空を眺めるのも好きでした。「あの空の向こうには、どんな世界があるんだろう?」と、宇宙のロマンに思いを馳せていました。親にねだって天体望遠鏡を買ってもらったのもそのころです。

――と言うと、宇宙にどっぷりの「天文少年」だったのですか?

本間 それが「天文少年」ってほどハマっていたわけではなかったんです(笑)。宇宙は好きなものの一つでしたけどね。サッカーもずっとやっていたし、ゲームでも遊んでいましたし、普通の少年でした。

サッカー少年が天文学者になったわけ

――では、天文学者を目指したのはいつごろ?

本間 大学に入って「天文学」を学び、大学院で実際に研究を行ってみたら、それが本当に面白くて。そこで、最終的に天文学者の道に進むことを決めました。ただその原点がどこにあるかと言われたら、小学生のころに抱いた「宇宙が好き」という純粋な気持ちにあるのだと思います。

――なるほど! 子どものころの「好き」のカケラが大きくなって、今のお仕事につながったというわけですね。

本間 はい。僕みたいに「好き」のカケラをいくつか持っておくと、それを将来の仕事にする人も出てくるかもしれない。だから講演会でも、子どもたちに「とにかく好きを見つけてください!」とお話ししています。

――でも、子どもたちが「好き」を見つけるのは意外と難しいような…。

本間 そうなんです。子どもたちが限られた知識の中から、「好き」を見つけるのは難しいかもしれません。そこで親御さんには、お子さんが「好き」に出会えるように、たくさんのチャンスを与えてほしいんです。

「今まで興味のなかったもの」に触れる大事さ

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――「好き」に出会うチャンスは、どうやって与えればいいのでしょう?

本間 お子さんが今興味を持っているもの以外の情報に触れさせてください。たとえば本屋に行けば、興味のある本の隣に並んだ、まったく縁のなかったジャンルの本と出会うチャンスがある。新聞をパラパラとめくれば、今まで興味を持たなかった記事に目を通すチャンスがある。昨今はスマートフォンで欲しい情報が手早く入手できる便利な時代ですが、僕は危機感を持っています。子どもたちが、自分に興味のない情報に出会うチャンスを失っているから。

――私には小2の息子がいます。日頃から息子にいろんな体験をさせるように心がけていますが、それも「好き」に出会うチャンスになりますか?

本間 なると思います! 親が子どもにしてあげられることは、いろんなチャンスや可能性を与えることだけ。それで充分だと思います。

図鑑や天体写真集は、宇宙に興味のスイッチを入れる絶好のツール

――子どもに宇宙に興味を持ってほしい! そう思ったときに、まず親ができることは何でしょう?

本間 やはり図鑑や天体写真集など身近に置いておくことでしょうか。すぐ手に取れる場所にあると、ふとしたときにお子さんの興味のスイッチが入りやすいと思います。書いてあることが理解できなくても、写真やイラストを見て「キレイだな」「神秘的だな」「なぜこんなもがあるんだろう?」と何か感じるものがあれば、宇宙に興味を持ってくれるかもしれません。

関心を持ち始めた子どもに親ができること

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――先生の著書『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑』を読ませていただきました。非常にわかりやすい内容で、かなり宇宙に疎い私の頭にもすんなり入ってきました!
 
本間 ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです!

――この本を毎晩寝る前に息子に1見開きずつ読み聞かせするようにしたら、息子がその時間をとても楽しみにしています。

本間 読み聞かせの時間が、息子さんにとってはお母さまとの楽しいふれあいの機会になっているのでしょうね。図鑑は、知識を増やすだけでなく、お子さんと学びながらコミュケーションをとることができる素晴らしいツール。ぜひ親子で楽しんでいただければと思います。

――「図鑑に親しむうちに、子どもが宇宙に興味を持ち始めた…」。そんなチャンスが訪れたら逃したくないものです。何かできることはありますか?

本間
 まずは、お子さんの話を聞いてあげることでしょうね。「図鑑にこんなことが書いてあったよー」と話し出したら、ふんふんと聞いてあげる。いっしょに勉強するのもいいかもしれません。子どもが関心を持ったら、その気持ちに寄り添うってことが何より大事です。

興味レベルを引き上げるなら、五感で感じる「宇宙体験」を

――先日、科学館の「天体観望会」に息子と初めて参加しました。図鑑で見ていた木星や土星を天体望遠鏡で見ることができ、親子でとても感動しました。

本間 そう、感動しますよね! 天体望遠鏡をのぞいて、肉眼では見られない天体が目の前に現れると。とくに土星の輪が見えると、「おー、すげぇー!」って誰しもなりますから。こうして図鑑で得た知識と現実世界の実体験が結びつくと、より宇宙への興味が深まるでしょう。

五感を使った体験は子どもの記憶に残る

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――宇宙への興味を広げるには、ほかにどんな体験をさせると良いでしょう?

本間 身近なところでいうと、宇宙の面白さを体験しながら学べる科学館やプラネタリムに行くのはおすすめです。実は日本は、プラネタリウムの設置数がアメリカに次いで世界第2位。ぜひ身近なプラネタリウムを活用してみてください。天文台に出かけて星を見たり、宇宙関連のイベントに参加したりするのもいいですよね。楽しく遊びながら宇宙に触れられれば、子どもの興味をグングン広げてくれるかもしれません。

――インターネットを通じて、自宅にいながら宇宙を疑似体験できるしくみも増えているようですが、やはり外に出かけて体験するのがおすすめでしょうか。

本間 はい。私たちは地球を離れられないので疑似体験にはなるのですが、家でゴロゴロしながらより、外に出かけて五感で感じながら体験するほうが断然おすすめです。見て、聞いて、触れて…五感とリンクする体験こそが、人の心を動かすし、記憶にも鮮明に残るからです。帰りにおいしいご飯を食べれば、お子さんにとって楽しい思い出にもなりますよね。ぜひ外に出かけて体験してみてください。

(解説:本間希樹先生、取材・文:あゆーや)

『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑』(講談社)
¥1,540

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