世界保健機関(WHO)が3月中旬に新型コロナウイルスについてパンデミックを宣言して4ヶ月以上が経つが、感染は世界中で拡大を続けており、6月中旬から国境閉鎖を緩和してきたヨーロッパでは、再び自由な旅行を制限する動きが出てきた。日本でも、インバウンド市場の回復への道筋は依然として闇の中だ。一方、国内旅行は東京外しで「GoToトラベル」が7月下旬に開始。需要の回復はまだ未知数だが、とにかく人は動き始めた。
トリップアドバイザーは、今年4月に続き6月にも、日本、アメリカ、イギリス、シンガポール、オーストラリア、イタリアの6カ国で、「旅行」に求めるポイント、コロナ禍でのキャンセル条件や安全面などに関する意識調査を実施。7月下旬に開催された「トラベルボイスLIVEオンライン版」では、同社代表取締役の牧野友衛氏を迎え、その結果をもとに、国内旅行で求められること、将来のインバウンド市場復活に向けて今できること探った。
牧野氏は「6カ国で共通する部分もあるが、国ごとに異なる傾向もある」と調査結果について説明。それぞれの傾向を今後のインバウンドの復活や国内旅行の需要喚起に向けたマーケットのヒントにして欲しいと呼びかけた。
国内旅行の意向は積極的な態度に変化
今年6月の日本人の国内旅行の回復についての意識では、「3ヶ月以内」が前回の12%から24%に増加、「半年以内」も34%から50%に増えていることから、牧野氏は「かなり積極的な態度に変化している」と分析した。一方、海外旅行については、依然として85%が「1年以上見合わせる」と回答。前回の87%とほぼ変わらない結果となった。
また、日本人に対する「次回旅行に行くとしたら」との問いでは、前回と比較して「国内線を利用」(12%)のみが減少。「自宅から90分以内」が7ポイント増えて41%、「ステイケーション」も6ポイント増えて23%となった。牧野氏は「地方自治体が独自に展開した需要喚起キャンペーンが大きいのではないか」と分析。トリップアドバイザーの検索動向を見ても、東京では「箱根」「熱海」「草津」などが増えているという。
このほか、日本人旅行者については、「次の旅行を計画する際には、これまで以上に念入りに調べる」と回答していることから、「観光地、DMO、旅行会社にとって、旅行者が必要とする情報を発信できるかが大事になるだろう」と指摘した。
インバウンドでは国立公園の訴求も
次にインバウンド市場について考察。「次に旅行に行くとしたら」との問いに、5カ国とも依然として国内旅行が最も多い。アメリカ、オーストラリア、シンガポールでは、「5時間以上の長距離海外」の割合が前回より下がった。それぞれ自国での感染が再び拡大していることが背景にあるように見られる。
海外旅行再開のタイミングについては、1年未満の割合が最も高いのがイタリア。一方、アメリカ(55%)、オーストラリア(62%)では「1年以上先」が最も多い割合となった。
牧野氏は、日本と同様に5カ国でも「今後アウトドア/自然を楽しむ旅行が増える」との回答が30%~50%を占めている結果に注目。「アフターコロナのインバウンド市場では、国立公園などの訴求も大事になるのではないか」との見解を示した。
日本以外で「非接触決済」を求める割合は40%以上
ウィズコロナでの「新しい生活様式」で必要となる行動について、6カ国で比較すると、日本では「外出中のソーシャルディスタンスの確保」が、4月の前回調査の60%から70%に上昇しトップになり、「屋外でのマスク着用」が61%で続いた。屋内施設や交通機関でのマスク着用の義務化が世界的に広がっているが、その意識は国によって異なる。オーストラリアでは、屋外、屋内とも20%台と、他の5カ国と比較してかなり低い結果となった。
また、「旅行先を決める上で重視すること」については、各国とも「旅行中の人混みをさけること」がトップになっていることから、牧野氏は、「観光地としては、3密回避対策の説明や観光施設の混雑状況の告知が重要」とし、平日の誘客に力を入れていく必要性にも触れた。また、各国とも「地域で公衆衛生に取り組んでいること」を重視する割合も高くなっていることにも注目すべき点として挙げた。
日本との違いが顕著に表れているのが「最新設備のある病院へのアクセス」。日本は20%ほどだが、他5カ国ではすべて50%を超える結果。さらに、「非接触決済の普及」も日本は13%にとどまるが、イギリス51%、シンガポール66%など他5カ国はいずれも40%を超えた。牧野氏は、「安全性という文脈で、日本でも非接触への取り組むべき」との考えを示した。
さらに、「次回の旅行で使用する可能性の高いサービス」については、6カ国とも「旅行の中断を補償する旅行保険」がトップ。「キャンセル規約の検索」もすべて30%以上の割合となっており、先が見通せない状況が続くと予想されることから、柔軟な対応を求める旅行者が多いことも分かった。
「知らない人と行くツアー」で日本と他国で大きな差
このほか、滞在先で重視することも調査。「宿泊施設を決める上で重要なこと」については、宿泊施設の安全安心対策を求める声は、日本よりも他の国の方が高い傾向となった。牧野氏は「消費者は、実際の旅行者が衛生対策をどのように感じたかを知りたがっている。宿泊施設は、情報発信とともに、クチコミに対するコミュニケーションにも気を配るべきではないか」と助言した。
また、今回初めて現地体験やアクティビティについても調査。「魅力に感じるものは」は、日本では「知っている人と行く少人数のプライベートツアー」とが92%と圧倒的。他5カ国での割合よりも飛び抜けて高い結果となった。一方、「知らない人と行く少人数のプライベートツアー」は日本は最も低い9%。海外の20%~30%と大きな差が出た。この背景について、牧野氏は「海外では、知らない人とのコミュニケーションも体験の一部として考えているのではないか」と指摘した。
コロナ禍で増えているパーチャル体験については、海外は20%前後だが、日本は7%と最低。牧野氏は「日本はこれから増えてくるのではないか。将来のリアル旅行のためには有効な手段だろう」との考えだ。
クチコミへの能動的なコミュニケーションを
ウィズ/アフターコロナではデジタル・トランスフォーメーションがさらに加速すると見られている。トラベルボイスLIVE では、デジタル化についてライブアンケートを実施。その結果、「今回を契機にデジタルシフトが進んだ」との回答は55%にのぼった。トラベルボイスの鶴本は、旅行先の決定で重視するものについて、「混雑状況を知りたい」が日本よりも海外の方が高い結果に触れて、「ここにデジタルのニーズがあるのではないか」と指摘。ライブストリーミングで混雑具合を知らせるアイデアを披露した。
また、「非接触チェックイン/アウト」については、日本は26%に対して、他国は50%以上であることから、「この分野でもデジタルの役割は大きい」との考えを示した。
不確実性の時代、旅行者の信頼を得るためには、旅行者とのコミュニケーションがますます重要になってくる。牧野氏は「消費者は、施設の発信する情報よりも、クチコミを信じる傾向がある」と指摘。旅行者の実体験の方が説得力があることから、「安心して滞在できたことを書いもらうことが大切になってくる」と付け加えた。
また、鶴本は「海外では旅行者にクチコミを書いてもらえるようにさまざまな工夫をしているが、日本ではまだ少ない」と話し、クチコミの能動的な活用を勧めた。
※編集部注: この記事は、2020年7月20日の実施回をまとめたものです。
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August 05, 2020 at 04:25PM
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旅行者意識の6カ国比較調査からインバウンド復活時のヒントを探る、非接触決済からクチコミの変化まで -トラベルボイスLIVEレポート - トラベルボイス(公式)
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