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Sunday, November 29, 2020

「わらしべ長者」をヒントに届いた支援 粟国島のコロナ苦境を漫画作品に - 琉球新報

「漫画制作権」を得て制作してもらった作品とパンを持つ宮本真理さん。「離島の苦労にも目を向けてほしい」と話す=粟国村(提供)

 1本のわらが物々交換を経て高価なものに変わる「わらしべ長者」。このおとぎ話にヒントを得て、新型コロナウイルスの影響で困った人を助けようと大阪市で始まった支援の輪が、遠く離れた粟国村に届いた。1本の「赤い糸」から物々交換が続き、同村でパン屋を営む宮本真理さん(44)に贈られたのは「漫画制作権」。この権利を使って経済的な影響を受ける島の窮状を漫画にしてもらった宮本さんは「離島の苦労にも目を向けてほしいし、落ち着いたらぜひ島に遊びに来てほしい」と話した。 (當山幸都)

 今年9月、大阪市のNPO法人「みらくる」(吉村大作理事長)が「赤い糸プロジェクト」を始めた。100円ショップで買った赤い糸はまず、鹿児島県のコーヒー店の「アマビエコーヒー3セット」(8748円)と交換された。コーヒーセットはその後、東京の漫画会社に引き取られ、5万円分の「漫画制作権」に変わった。

 「漫画制作権」を最初に入手したのが、元プロ野球選手でクリケット日本代表の木村昇吾さん(40)だった。木村さんは西武時代のユニホームなどと「漫画制作権」を交換。ツイッターで「あなたのお仕事マンガにします!」と、売り上げが落ち込んだ飲食店に寄付すると書き込み、選ばれたのが宮本さんだった。


「漫画制作権」を手に入れた宮本さんが東京の漫画会社に制作してもらった作品

 宮本さんは熱狂的な「カープファン」でもある。広島カープにも所属していた木村さんとは、昨年ファン向けのイベントで交流したことがあった。浅からぬ縁に感謝しつつ、宮本さんはコロナの影響で経済的に落ち込む島の様子を漫画にすることができた。

 粟国村には約700人が暮らし、飲食店は観光客の需要を見込む。ところがコロナで島から観光客は消え、島民も不要不急の用事では島から出られない。昨年6月から島で小さなパン屋「ベーカリーカフェ アグニファン」を経営する宮本さんは「村民だけで経済を回すには限界がある。自分だけの頑張りではどうにもならない」とこぼす。

 1ページの漫画には島の苦悩を盛り込みつつ、「落ち着いたらぜひ遊びに来てください」と島をアピールしている。

 漫画は村内のみならず、島のフェリーが行き来する那覇市の「とまりん」にも置かれている。「赤い糸プロジェクト」に呼応して、宮本さんは今後、コロナで困窮する村内在住者にパンを提供するささやかなサービスを考えている。


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