群雄割拠のダート界を統一すべく、若き良血馬が圧巻の横綱相撲を見せつけた。 今年のGIシリーズ開幕戦、第38回フェブラリーステークス(2月21日、東京ダート1600m、4歳以上GI)で、クリストフ・ルメールが騎乗する1番人気のカフェファラオ(牡4歳、父アメリカンファラオ、美浦・堀宣行厩舎)が優勝。好位から抜け出す力強い走りで、見事GI初制覇を遂げた。 【名作】武豊に聞く。ディープインパクトは サイレンススズカを差せるのか。
パドックで跨った時点で手応えを得たルメール
カフェファラオは2019年12月の新馬戦から2020年6月のユニコーンステークスまで3連勝。すぐにでも日本のダート界をリードする存在になると見られていたが、中2週ほどの短い間隔となった7月のジャパンダートダービーで7着に惨敗。そこでリズムを崩したのか、10月のシリウスステークスを勝って臨んだ前走のチャンピオンズカップでは6着に終わり、一部では「早熟」との声も聞こえるようになっていた。 この中間、陣営はじっくりと立て直しをはかり、チークピーシーズという頬に付けて視界を狭くし集中力を高める矯正馬具を装着するなどさまざまな工夫を重ね、ここに出走してきた。 この馬に3戦連続3度目の騎乗となるルメールは、パドックで跨った時点で手応えを得ていたという。 「馬の状態がすごくよかった。スタートする前に勝つ自信を持つことができました」 その自信が積極策につながったのだろう。ルメールは、他馬と横並びのスタートを切ったカフェファラオを軽く促しながら内と外の馬を先に行かせ、先頭から3馬身ほど離れた5番手で向正面を進んだ。 「今日はチークピーシーズをつけていたので、アグレッシブなレースがしたかった。いいスタートを切って、いいポジションにつけることができました」
エアスピネルが鋭く追い上げてきたが…
前半3ハロン通過は34秒7、4ハロン通過は46秒5。先行馬には厳しい速い流れになったが、ルメールは躊躇なくカフェファラオを先行させた。そして3コーナー手前でさらにポジションを上げ、3番手で3、4コーナーを回った。コースロスのない内を通って前との差を詰めながら、直線へ。 「流れは結構忙しかったけど、ずっといい反応をしてくれました」とルメール。 ラスト400m地点ではまだゴーサインを出さず、軽く仕掛ける程度。そこから、まず2番手のワイドファラオをかわし、ラスト200m地点で先頭のエアアルマスに外から並びかけると同時に、ゴーサインの右ステッキを入れた。 さらに外からエアスピネルが鋭く追い上げてきたが、差を詰められるとカフェファラオはさらに末脚を伸ばして寄せつけない。 カフェファラオはルメールの叱咤に応えて最後まで伸びつづけ、2着のエアスピネルに3/4馬身差をつけて押し切った。速い流れを好位から追いかけ、前の馬をきっちりつかまえて後ろを突き放す、見事な横綱相撲だった。
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