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Tuesday, June 22, 2021

コロナ禍から経営危機を乗り切るヒント、百年企業から学べ 社史で答えを求める - SankeiBiz

 創立100年を超える会社の歴史から学ぼうと、栃木県内の若者が奮闘している。日光市の観光物産会社では新入社員らによる社史編纂事業がスタート。宇都宮市では若手研究者が老舗呉服店の古文書をひも解いた。新型コロナウイルスの影響で社会が揺れ動く中、歴史に答えを求める狙いがある。

 創業150周年となる日光市中宮祠の三本松茶屋。記念事業として行われているのが同社の社史編纂。担当するのは社員の伊東健さん(32)と、入社したての許成飛さん(27)。会社の沿革だけでなく奥日光の変遷もたどり、1冊の本にまとめる。

 同茶屋は明治4(1871)年、奥日光・戦場ケ原に創業。昭和20年から、林野庁の仕事として気象観測を始め、奥日光の自然を体感できるツアーの実施やクラフトビールの醸造まで事業を拡張した。

 中国出身の許さんは今年3月に宇都宮大大学院を修了後、同社の経営理念や日光の人々や自然との調和に感銘して入社した。「奥日光の観光と自然保護の歴史に詳しい方がご存命のうちに話を聞きたい」と考える伊東さんと事業に挑む。

 2人は創業した鶴巻家の家系図を作成、10人以上の親族ら関係者への取材を進めていく。許さんは「新型コロナで観光地としての奥日光は厳しい状況だが、厳しさを乗り越えてきた歴史から学びたい」と話す。

 社史編纂を託した鶴巻康文専務は「個人や企業が変化を余儀なくされる中、変わるためには“軸”が必要。それは個人や企業の在り方だったり、存在意義であると感じる。そうした軸を見直すことが今回の目的」と語る。

 一方、江戸時代の商品流通を研究する宇都宮共和大非常勤講師、寺内由佳さん=宇都宮市在住=は、同市宮町の丸伊呉服店の7代目が1861年にまとめた家史「永用録」や借用証文類などを読み解き、昨年6月に歴史学で著名な雑誌に論文が掲載。昨年末に若手研究者対象の「第18回徳川奨励賞」を受賞した。

 家史は約390年前からひも解かれ、魚の仲買人だった2代目や古着業を軌道に乗せた5代目、7代目の足跡が記されている。7代目は江戸の呉服問屋から良質な商品を仕入れ、佐野や茨城・古河などの生産地からも仕入れを行い、家業を繁栄させた。

 寺内さんは「江戸時代の商家は、主に創業から守成への経営転換期、経営者の交代期に家法(家史)を作成していた」と解説する。

 家史は蔵に厳重に保管されて戦火を逃れ、今まで引き継がれてきた。12代目の増渕好次郎さん(72)は「呉服店の研究を通じて着物文化が見直されるきっかけとなればうれしい」と期待している。(鈴木正行)

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