フィギュアスケートの羽生結弦選手は14日、北京市内で開かれた記者会見のあと、NHKの単独インタビューに応じました。羽生選手は、足首の痛みを抱えながらも4回転半ジャンプに挑戦したことを振り返り「今までにない力でアクセルに挑めた。皆さんの思いがじかに伝わった瞬間だった」と話しました。
羽生選手は14日午後5時半から北京市内にあるメインメディアセンターで記者会見を行ったあと、NHKの単独インタビューに応じました。
この中で羽生選手は、フリー前日の練習で足首をけがしていたにもかかわらず4回転半ジャンプに挑んだことを振り返り「けががあって、周りの人がサポートしてくれて、より一層力をくださった。僕自身もすごく集中できていたし、今までにない力でアクセルに挑めた。皆さんの思いがじかに伝わった瞬間だった」と話しました。
もっと時間があれば成功に近づくのかという質問に対しては「そんなに簡単なものではない。そんなに簡単にできるなら、僕はできている」と答えたうえで「成功させたかったなという気持ちはもちろんあるが、あれが羽生結弦の4回転半なのかなという感じもしている」と話していました。
“サポートいただいて 誰よりも幸せな状態で試合に臨めた”
また、羽生選手にとってオリンピックはどのような舞台かという質問に対しては「ピョンチャン大会までは、頑張れば報われる場所だった。今回は心の底から報われたなと思えるほど強くないが、今回が一番、たくさんサポートをしていただいて、誰よりも万全な状態、幸せな状態で試合に臨めた。その方々に本当は金メダルをかけたかった」と、感謝の気持ちとともに悔しさをにじませました。
今後の現役生活は「あとから決めればいい」
今後の現役生活については「正直に言ってしまえば、今はどうでもいいと思っている。あとから決めればいいと思う。今は大会最後にあるエキシビションに気持ちが向いている。足のけがはこんな短期間で治るものではないので、歩くのも痛い。それでも見てもらいたい演技、表現があるので、今はそこに全身全霊を込めたい」と力強く話していました。
東日本大震災から来月で11年「僕は皆さんの何かになれましたか」
羽生選手は、来月で東日本大震災の発生から11年になることを踏まえて、被災した人たちや、新たな生活を続ける人たちへの思いについて「皆さんに問いかけたい。僕は皆さんの何かになれましたか、と。これまで金メダルを持って、結果というもので恩返しできたが、今回は何も持って来れなかった。たとえ、それがものじゃなかったとしても、それが演技そのものだとしても、それがたった1回の4回転半ジャンプだとしても、皆さんの何かになれたらいいなと思う」と、まっすぐに前を見て話していました。
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