◆北京五輪 ▽スピードスケート女子500メートル(13日・国家スピードスケート館)
女子500メートルが行われ、日本選手団主将の高木美帆(27)=日体大職=が37秒12で銀メダルを獲得した。7日の1500メートル銀に続き、今大会2個目のメダル。通算5個は自身の持つ冬季日本勢の最多獲得数を塗り替え、日本女子で過去最多だった、夏季競技で柔道女子の谷亮子らに並んだ。5種目に挑んだ今大会で初めて滑った500メートルで自己ベストを更新した高木美は残る2種目で、前回銅の1000メートル、連覇がかかる団体追い抜きに大きな弾みをつけた。
タイムを見た瞬間、目を疑った。電光掲示板を見上げると、飛び込んできたのは37秒12。19年3月に、タイムの出やすい海抜1000メートル超の高速リンク(カナダ・カルガリー)で記録した自己ベストを、同40メートルほどの北京の低地リンクで0秒10も上回る驚異の記録。「自分でもびっくりした」。何度もガッツポーズし、珍しく感情を爆発させた。
こん身のレースに満足感が漂った。15組中4組目。思考はすぐに15日の団体追い抜きへ切り替えていた。クールダウンのバイクをこぎながら気持ちを落ち着かせていたが「だんだんメダルの可能性が出てきて、ちょっとそわそわし始めた」。エリン・ジャクソン(米国)にわずか0秒08上回られたが、銀メダルが確定すると「純粋にうれしい」と跳び上がって喜んだ。
今大会は初めて5種目にエントリーした。前回平昌五輪でも4種目を経験していたが、ネックとなったのは新たに増えた500メートル。12日と15日に最大3レースを行う団体追い抜きの間の13日に組まれていた。大本命だった7日の1500メートルで悔しい銀メダルとなった後、「団体追い抜きのことを考えて、500メートルに出るかどうかを本気で考えたこともあった」と明かした。
平昌五輪後、スプリント力も磨いてきた。20年3月には500メートルと1000メートルを2度ずつ滑る世界選手権のスプリント部門で初優勝を飾った。国内外で五輪女王の小平と勝負し、時には上回った。五輪で滑る可能性を考え、挑戦を続けた。世界でトップを争う確信は持てなかったが、「500メートルは一つのミスが命取りになる」。主戦場の1500メートルや1000メートルとも違った奥深さに、探究心を刺激される種目でもあった。
心強い存在もいた。開幕前に新型コロナの陽性判定を受けてチームを離れていたヨハン・デビット・コーチがこの日から復帰した。不在だった間、「日々の流れの中で、いつもヨハンがそばにいた。ふとした時にかけてくれる言葉が急になくなった期間はやっぱり、しんどいものはあった」。レース前から何度も「肩に力が入っている」と声をかけられ、平常心を取り戻した。
過酷な日程にチャレンジしたからこそ、2つ目のメダルをつかんだ。「この銀メダルは挑戦した証し。挑戦できたことは誇りたい。このメダルの意味をさらに上げることができるのは、この後の2種目次第。しっかり挑みたい」。15日の団体追い抜き、17日の女子1000メートルも、全力で駆け抜ける。(林 直史)
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