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Friday, February 4, 2022

軽石漂流 謎に迫るヒントで浮かぶ小惑星「リュウグウ」との関係性 - 毎日新聞 - 毎日新聞

全国各地から採集された軽石の一部=堀場製作所提供 拡大
全国各地から採集された軽石の一部=堀場製作所提供

 全国各地の海岸に漂着し、漁業や観光に深刻な影響を与えた「軽石」。海底火山の噴火からどこまで、どのようにしてたどり着いているのか、未解明な部分も多い。その暗闇に光を当てるヒントをたどると、小惑星「リュウグウ」との関係性が見えてくる。なぜか。

 軽石は2021年8月、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で噴出された。火山ガスが抜けてできた無数の気泡があるのが特徴で、沖縄・奄美地方の海域を中心として各地に漂着し、漁業や観光などに深刻な影響を与えている。気象庁などは放出された軽石や火山灰について、少なくとも1億立方メートルと推定している。

さまざまな大きさの軽石が漂着した鹿児島・与論島の海岸=総合地球環境学研究所提供 拡大
さまざまな大きさの軽石が漂着した鹿児島・与論島の海岸=総合地球環境学研究所提供

「蛍光X線分析装置」に着目

白い砂浜が漂着した軽石で覆われてしまった鹿児島・与論島の海岸=総合地球環境学研究所提供 拡大
白い砂浜が漂着した軽石で覆われてしまった鹿児島・与論島の海岸=総合地球環境学研究所提供

 軽石は黒潮などの海流や風の影響で各地に流れ着いたとみられるが、正確な動きは分かっておらず、さまざまな機関で分析が進んでいる。そんな中、解明に向けて名乗りを上げたのが、分析機器大手「堀場製作所」(京都市南区)と総合地球環境学研究所(地球研、同市北区)による共同研究チームだ。

 チームは、探査機「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウの試料分析で用いられた、堀場製作所のグループ会社・堀場テクノサービスの「蛍光X線分析装置」に着目。この装置はサンプルを非破壊・非接触のまま、高精度な分析を迅速に処理できる。全国各地の大量の軽石をこの装置で分析し、過去に発生した海底火山由来の軽石のデータや漂着日時などの情報を付き合わせれば、漂流パターンの解明につながるからだ。

蛍光X線分析装置で軽石を分析している様子=堀場製作所提供 拡大
蛍光X線分析装置で軽石を分析している様子=堀場製作所提供

漂着分の収集に着手

 そこで、各地の博物館やジオパークの学芸員らに協力を求め、海岸に漂着した軽石の収集に着手。既に沖縄や鹿児島、和歌山、神奈川、千葉から集まり、堀場テクノサービスで分析を始めている。過去の海底火山由来の軽石との比較などは、地球研が担う。

 堀場製作所によると、今回と同様の現象は1914、86年にも起こっているという。研究成果は学会や論文などで発表し、一般向けにも公開を予定。今後、同じような問題が発生した場合の対策にも役立てたい意向だ。

 堀場製作所の担当者は「自然災害は避けられず、どのように対策を講じるかや、どのように被害から回復できるかを考えるには、正確なデータが必要だ。社会とデータを共有して役立てたい」と話した。【福富智】

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