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Tuesday, June 21, 2022

上野・パンダ日記:双子パンダ、すくすく1歳 ライチョウをヒントに秘策「ラジオ作戦」 - 毎日新聞 - 毎日新聞

23日の1歳の誕生日を前に報道陣に公開された双子のジャイアントパンダのレイレイ=東京都台東区の上野動物園で2022年6月20日午前10時12分、北山夏帆撮影 拡大
23日の1歳の誕生日を前に報道陣に公開された双子のジャイアントパンダのレイレイ=東京都台東区の上野動物園で2022年6月20日午前10時12分、北山夏帆撮影

 上野動物園(東京都台東区)で2021年6月23日にジャイアントパンダの双子、雄の「シャオシャオ(暁暁)」と雌の「レイレイ(蕾蕾)」が誕生し、間もなく1年。今年は日本でのパンダ飼育開始から50年、同園開園から140年という節目でもあり、お祝いムードが高まる。すくすくと育つシャオシャオとレイレイ。同園初の双子パンダの世話に挑む飼育員たちには、「三つの秘策」があった。【柳澤一男、南茂芽育、小林遥】

 4月29日午前。上野動物園西園にある「パンダのもり」で、小雨が降る中、双子はわんぱくな様子で動き回っていた。

 シャオシャオが幹回り約30センチのエノキの木に登り、枝分かれした場所に腰掛けると、それを追うようにレイレイも登り始めた。しかし、上にいるシャオシャオがその場を動かないため、レイレイがつっかえるような形になり、諦めたように引き返す。地面に戻ったレイレイは「やっぱり登りたい……」とでも言いたげな表情で、シャオシャオを見上げた。

 「可愛い」「本物見るの初めて」――。抽選に当たって双子を見ることができた観客たちは、スマートフォンやカメラで盛んに撮影しながら、わずか約3分の見学時間を満喫した。パンダが描かれたTシャツを着てきたり、パンダ柄のバッグを抱えたりと、それぞれにパンダ愛をアピールしていた。

 「パンダのもり」は東園のパンダ舎の老朽化に伴い、20年に新設された。敷地面積は約6800平方メートル。東園にすんでいた3頭のうち、双子の父リーリーと母シンシンが新施設に引っ越し、姉のシャンシャンは東園に残っている。

 「もり」は観客とパンダを隔てるガラス柵の高さが約1メートルのところもあり、大人なら直接パンダを見られる。双子が公開されているエリア付近は柵が人の目線より上まであるが、聞こえているはずの観客の話し声や歓声に双子がおびえたり怖がったりする様子はみられない。

1歳の誕生日を前に報道陣に公開された双子のジャイアントパンダのシャオシャオ(上)とレイレイ=東京都台東区の上野動物園で2022年6月20日午前10時11分、北山夏帆撮影 拡大
1歳の誕生日を前に報道陣に公開された双子のジャイアントパンダのシャオシャオ(上)とレイレイ=東京都台東区の上野動物園で2022年6月20日午前10時11分、北山夏帆撮影

 それには、パンダの聴覚が発達する時期を狙い、双子が3カ月となった昨年9月から飼育員が取り組んだ“秘策”があった。

 「ラジオ作戦」――。双子の周辺でFMラジオの番組を日常的に流し、人の声に慣れさせる作戦だ。使用したのは、ポータブルタイプのCDラジカセ。テレビを持ち運ぶより便利で、アンテナを伸ばせばどこでも音が入る。ラジオ番組としては歌や音楽より、DJのトークが観客の話し声に近いと考えた。

 今回の作戦のヒントになった例がある。かつて、同園ではライチョウのひなをラジオを聞かせて育てたことがあった。

 このひなは人工飼育だったため、「音」という方法で落ち着かせようと考えたという。いろいろな音を試し、最もひなの行動に落ち着きが見られたのは、なんと落語だった。

 ライチョウは「落語」でパンダは「DJ」。同園の担当者は「科学的根拠はないが、試行錯誤の結果」と笑う。「パンダは動物の中でも特に音に敏感。そもそも動物は全般的に、静かすぎると音に敏感に反応するようになるので、生活環境にほどほどの音があった方が良い」(同園)との考えからアイデアが生まれた。

 今年1月に始まった一般公開で当時7カ月だった双子は物おじする様子を見せることもなく、その後も動じる場面はない。秘策の「ラジオ作戦」は見事、成功したようだ。

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