前橋市は2日、優れた現代詩を対象とした第30回萩原朔太郎賞(同市など主催)に、東京都の詩人川口晴美さん(60)の詩集「やがて魔女の森になる」(思潮社)を選んだと発表した。同市千代田町の前橋文学館で会見した選考委員5人は「世の中が大きく変化する中で弱気になりながらも、自分の感性で今を受け止め、考えるヒントに満ちている」(三浦雅士さん)などと選出理由を説明した。(羽物一隆)
川口さんは福井県小浜市出身で早稲田大第一文学部を卒業。国学院大や文教大で非常勤講師を務め、二〇一六年に詩集「Tiger is here.」で第四十六回高見順賞を受けた。朔太郎賞の受賞を受け、川口さんは「この詩集は、私だったかもしれない誰かの声を詩ですくい取りたいと思いながら書いた。その小さな声に光があてられた」とコメントを寄せた。
選考委員の選評では「コロナ禍の自分を見つめる視点や、若かった自分と六十歳になった自分とを比べる視点の二つが興味深かった」(佐々木幹郎さん)、「機微をとらえる感覚に優れ、新しい詩の世界観を切り開いていく可能性を感じた」(建畠晢(あきら)さん)といった意見も出ていた。
また、選考委員を通算十八回務め、今回で最後となる吉増剛造さんに感謝状が贈られた。
朔太郎賞は、八月一日までの一年間に発表された作品のうち、推薦委員会が選んだ五作品を審査した。贈呈式は十一月六日、同館で開かれる予定。
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