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Tuesday, October 18, 2022

若手社員が業務を効率化するためのヒント「業務の見える化がもたらす恩恵とTo Do整理のコツ」|@DIME アットダイム - @DIME

■短期集中連載/第2回:業務の見える化がもたらす恩恵とTo Do整理のコツ

本連載では、3回にわたって業務効率化をテーマにお届けします。私は現在アドビで、次世代ユーザー向け製品および教育市場向けのマーケティングの統括をしています、小池晴子と申します。最近はマネジメント業務が中心ですが、20代〜30代の圧倒的に実務が多かったころの私なりの仕事のやりくりの仕方や、普段チームメンバーに伝えているコツをお届けできればと思います。

業務が積み重なりすぎて、不安で眠れない?!

以前のことです。ある日、チームメンバーから相談を受けました。業務量が多くて何から手を付けていいかわからず、不安でよく眠れないと…。それは大変!それは申し訳なかった、と思いつつ、どんな業務が詰まっているのか聞いてみると、やらないといけないことがたくさんありすぎて列挙できないと言います。

そこで、一緒に大きなホワイトボードの前に座って洗い出してみることにしました。まず本人も理解している「自分の仕事のテーマ」(XXの企画と実行、KPIはYY)を書きます。これはハイレベルの大きなものなので多くても3つ程度にまとまり、実行期間も1年間だったり半年間だったりします。その上で、そのテーマの達成のために向こう1~3ヶ月の間に進めるアクションを書きます。さらにそのアクションの下にタスク(To Do)を書きます。このタスクが粒度としては一番小さく、実行期間も1週間~1ヶ月程度の間になります。

さて、本人には思いつくまま大小は気にせず「やらないといけないこと」を言ってもらいながら、上の構造でホワイトボードにすべて書き出しました。書き出し終わると自然に全体像が出来上がっていて、本当の意味で「今、やらないといけないこと」がわかりました。すると本人の気持ちもすっかり落ち着いて笑顔が戻りました。どうやらタスクが立て込むうちに、とりあえず思い立ったものに着手してしまい、優先順位が曖昧になった結果「あれもやらなくちゃいけない、これをやっていなかった・・・」などとランダムに頭に浮かんできて不安にかられる悪循環に陥っていたようです。

To Doは構造的に整理する

タスク(To Do)の整理は、単に羅列をしてしまうとすごい数のToDoが出て来たり、ヌケ漏れがあったり、優先順位がわからなかったりといったことが起こります。それをさけるには、上のように、テーマ>アクション>タスクの順に、構造的に見える化をして洗い出すのがおすすめです。アプリでもノ―トでも付箋でも自分にあったスタイルで、ただし「構造的に」がコツです。

どのくらいの細かさで書き出すのかは、業務の習熟度によります。新人さんなら「●●さんにメールでXXについて聞く」というTo Doを書き出しておくのも必要でしょうし、慣れてくればそこまで細かい粒度でTo Doを洗い出さなくても段取りができるようになります。一方で粒度が大きすぎると第一歩が見えず取り掛かれません。ポイントは、ただ書き出すのではなく、構造的に、自分にとって適切な粒度で、マトリクスの箱の中に整理するようなイメージをもつことです。

例えば、新規プロジェクト立ち上げという年間テーマがあるとして、今期のアクションが企画立案~承認取得、直近タスクが「企画書作成」だとします。「企画書作成」というTo Doで取り掛かることができる習熟度ならそれで構いませんが、もしそのサイズのTo Doでは何から手をつけていいのかわからない場合は、さらにレイヤーに分けていきます。

1つめのレイヤーは「人に依頼する必要があるもの」。企画に必要なデータ調査を別部門のAさんに依頼する、過去の類似企画の振り返りを先輩のBさんに教えてもらうなど、自分以外の人に頼まないと作業が進まないものです。2つめのレイヤーは、「上司や関係者の確認と承認が必要なもの」です。承認のタイミングや承認にかかる時間を踏まえると、その前の作業をいつまでにやるべきかが決まります。3つめのレイヤーは、「自分が手を動かせばよいもの」です。ここは自分が頑張ればよいので、多少遅れがあったとしても、取り戻すことができます。

1つめ、2つめのレイヤーは「人の時間を借りる必要があるもの」ですので、基本的には自分ではコントロールできません。従って、このレイヤーに入るタスクが見通せていないと、全体スケジュールに影響してしまいます。多少のバッファも考えて、まず真っ先に段取りをつけるべきタスクにすると安心です。3つめのレイヤーは、自分が頑張ればよい領域ではありますが、ここでも無理は禁物です。 第1回でお話したスケジュール管理のコツを参考に上手にスケジュールに入れておきましょう。

うっかり忘れを防ぐには?

さて、構造的にTo Doを洗い出すことはできて、多くの場合は段取りよく進めていたとしても、人間の注意力や記憶力には限界があるので、「うっかり忘れ」が起こります。そもそもTo Doをリスト化するときに忘れていてTo Doから漏れているなんてことも、なくはないのです。ですから、うっかり忘れは起こるもの、という前提でちょっとした仕組みや行動で、なるべくうっかりを起こさないようにする工夫をします。

簡単なのはすぐにメモをすることですが、あちこちにメモが散らかってしまうと意味がありません。おすすめは二重のセーフティーネットをイメージした整理です。まず「To Doの基地」として自分なりに使いやすい固定の場所を1つ作ります。アプリでもノートでも自分にあったツールで構いませんが、一か所に、前述の通り構造的に作ります。新しいTo Doを加えたいとき、このTo Doの基地にすぐにアクセスできるなら、そこに直行で入れてしまえば完了。

To Doの基地にすぐアクセスできないところで、やらないといけないことを思い出したり、頼まれたりすることもあります。そういうときは、私は自分宛のメールのタイトルに後で自分が分かる程度の短さでTo Doを書いてすぐ送ってしまいます。仕事のメールボックスなら一日に何度も見るので、慌ただしくメモしたために、メモしたこと自体を忘れるといううっかりが防げます。これが1つめのセーフティーネット。

2つめのセーフティーネットは、そのTo Doに関連するものを何かしら目印として自然に自分の目に触れる範囲に置いておくこと、あえて出しておくことです。私の場合、紙の書類が多かった頃は、やりかけの仕事の目印としてクリアファイルに入れて机上の決まった場所に置いておく習慣をつけていました。今はデジタルのものが多く情報量も多いので、「To Do整理をするまでの一次置き」として、関連するメールを受信Boxに置いておく、関連するリンクを一か所にブックマークしておく(もっと短時間なら開いたままにしておく)、といった方法で目印にして、うっかり忘れを防いでいます。

管理ツールはなにがいい?

「To Doの基地」につかえるデジタルツールはたくさんあるので、いろいろ使ってみたり、先輩や同僚が使っているツールを聞いて、自分に合ったものを選ぶとよいと思います。デジタルツールの一番の良さは、関連書類やリンクなどを1つのタスクにぶら下げておくことができる点です。いざ着手しようと思ったときに探し物に手間や時間を取られることを防げます。また、優先順位の変更が発生したときの入れ替えもドラッグドロップ程度なので簡単です。

一方で、アナログならではの良さもやはりあります。私の場合は前回のスケジュール管理のコツでもお話しましたが、時間もTo Doもビジュアルイメージを持って整理するタイプです。時間は時間枠のブロックをイメージしていますし、To Doはマトリックス構造をイメージしています。デジタルではそのビジュアルイメージを持ちにくいときがあるので、デジタルツールをメインに使いつつ、アナログの手帳もあえて併用しています。

かれこれ10年以上ずっと愛用しているシンプルなスケジュール手帳は、1日の時間軸が縦に並んでいるバーチカルタイプで、ここに予定を簡単に転記すると、時間枠でビジュアルに把握することができて頭の中が整理できます。To Do整理は今はデジタルツールしか使いませんが、昔、発行日が決まっている出版物の担当者だった頃は、すべてのタスクは日にちベースで追いかける必要があったので、時間枠の下にあるメモ欄をTo Doの構造化の場所に使っていました。

頭の整理は、人それぞれ自分にあったやり方が必ずあると思います。ひとつの方法論として、見える化すること、構造化すること、ビジュアルで把握することをお話しました。すべてを混在させて脳のメモリーだけに置いておくと、立て込んできたときに冒頭のエピソードのような悪循環が起こります。ツールや手帳を外付けメモリーだと思って一旦整理して出してしまえば、常に気にしている必要はなくなり、そのとき取り組むべきことに効率良く頭を使うことができるようになります。複数のプロジェクトが同時に動いても、締切が増えても落ち着いて集中できますので、試してみてくださいね。

次回は、やりがいをもって働くための考え方を取り上げます。

■筆者略歴:アドビ株式会社 マーケティング本部長(Adobe Express & エデュケーション)小池晴子

上智大学外国語学部卒業後、1994年福武書店(現:ベネッセコーポレーション)に入社。通信教育・教室事業などの商品開発責任者を務めた後、2016年に米国EdTechベンチャー企業の日本オフィス立ち上げに参画。2017年アドビに入社、教育市場部長などを経て2022年6月より現職。就学前から社会人までの創造性・デジタルリテラシー育成や、学校教育のICT化などについて社内外で幅広く活動している。

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