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Wednesday, November 23, 2022

ジブリパーク開園! 『千と千尋』に『風立ちぬ』…宮崎駿作品には「歴史を知るヒント」が満載だ - 読売新聞オンライン

 愛知県長久手市の愛・地球博記念公園内にジブリパークが開園した。「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」「青春の丘」の3エリアが先行開園し、『となりのトトロ』の遊具や『耳をすませば』に登場する店舗「地球屋」が再現され、『 (せん)千尋(ちひろ) の神隠し』『紅の豚』などに登場するキャラクターと写真撮影できるコーナーなどがある。来年度には第2期として、「もののけの里」「魔女の谷」の2エリアも開業予定だ。

 設計や現場での指揮を担当したスタジオジブリ常務の宮崎吾朗さんが、「いわゆるテーマパークというイメージから離れ、“公園”を作りたかった」と話す通り、大きなアトラクションや乗り物はない。その分、細部まで丁寧に描き込まれたジブリの世界をゆっくり、じっくり体験でき、大倉庫エリアのミルクスタンドでは『風立ちぬ』に登場する菓子の「シベリア」も食べられる。

 吾朗さんの父で多くのジブリ作品の監督・脚本を務めた宮崎 駿(はやお) さんは、細部までこだわるため、時代背景を綿密に調べている。フィクションやファンタジーが史実と同じかどうかを問題にする意味はあまりないが、ジブリ作品は歴史を知るヒントが数多く盛り込まれている。とてもすべては紹介できないが、作品から読み取れる思わぬ史実を紹介しよう。

 平成13年(2001年)に公開された『千と千尋の神隠し』は、湯屋(湯治場)のある不思議な街に迷い込んだ10歳の少女、荻野千尋が自分の力で生きようとする冒険物語だ。おそらく平成の初めに森の中の不思議なトンネルをくぐって千尋が迷い込んだ街の景色は、それより60年以上前の昭和初期のものだ。

 湯屋「 油屋(あぶらや) 」のモデルとされる湯治場はいくつかあるが、宮崎駿さんが参考にしたことを認めるのは東京都小金井市の「江戸東京たてもの園」にある「子宝湯」。昭和4年(1929年)に東京都足立区に建てられ、廃業後にたてもの園に移築された。油屋の名前は昭和初期に大分県の別府温泉を有名にした実業家、 油屋(あぶらや)熊八(くまはち) (1863~1935)からとったといわれている。

 だが、そこで展開する物語は、太古の記紀神話の要素が詰め込まれている。疲れをいやすため油屋にやってくるのは『古事記』にも登場する 八百万(やおよろず) の神々なのだ。しかし、その神々は体内に大量のごみを宿して悪臭を発していたり、顔や言葉がなかったりと、現代人がイメージする神様とはだいぶ異なる。もともと八百万の神々は万物の自然に宿るもので、その神々が疲れて次々と湯治にやってくるのは、自然が傷めつけられていることの比喩なのだろう。

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