AIや機械学習を事業で活用するケースが増えてきました。これら技術の利用シーンといえば、データ分析を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ラックのイノベーション開発グループでは、AIの得意とするデータ分析の技術を営業活動の現場に活用することで、従来の手法とは違う手段で営業活動をサポートできないかを模索しています。この記事では私たちが開発・検証を続けている、AIによる営業変革に効果的な3つの方法についてご説明します。
営業活動の記録を手間なく残す
私たちが提案している営業の業務効率化ツールのひとつは、「音声AIアシスタント」を活用した営業メモを、CRMへ登録するツールです。これは外回りをしている銀行の営業の方から聞いた、商談後すぐ手軽にメモを残したいという話からヒントを得ました。1日に何件ものお客様を訪問する場合、後でまとめてメモを細かく残すことは手間がかかります。しかし、訪問が終わった後すぐにメモが残せたら負荷が軽減されるのではないでしょうか。
音声認識は、現在では様々な分野で用いられている技術です。音を分割し、その音の発音を文字に当てはめ、発音が意味のあるもの（単語）になるように前後関係を作り、意味のある文章にしていくという様々な技術が組み合わさっています。これに深層学習が取り入れられることで、音声認識の精度は飛躍的に向上しました。
このような音声認識技術を生かしたAIアシスタントツールを使うと、チャットボットからQA形式で営業メモを残せます。特徴は、会話形式で質問に答えると営業メモが完成するようになっていることです。また、自然言語処理の技術を使い、様々な業界にカスタマイズしているため専門用語にも対応できます。営業後すぐにツールを使うことで、メモの抜け・漏れが防止できます。メモに書きとめきれなかったお客様の要望なども記憶が新しい状態でCRMに登録できます。対話形式で必要な質問に回答していくので、重要な項目が抜け落ちることもありません。既にいくつかの営業現場で活用しており、高い評価と改善要望をいただいています。新しい営業スタイルへの変革をサポートするツールとして、さらに磨きをかけていく所存です。
Salesforceのメモから、効果的な営業戦略を炙り出す
営業が得てきた営業情報を活用すべく現在取り組んでいるのが、Salesforce上のデータ分析です。Salesforce上のデータといえば売上や案件の獲得状況の確認、営業同士の引き継ぎなどの利用のみに留まっていることが多いのではないでしょうか。しかし、これ以外にも営業活動のメモや顧客情報など、Salesforce上には多くの有益なデータが蓄積されています。そこで営業が記録したメモを、自然言語処理技術を活用したデータ分析を行うことで、製品や企業規模で類似している案件に共通するTO DOをピックアップでき、営業過程や結果を分析できるようになりました。
下の図は開発中のデモ画面ですが、会社名と今回のTO DOを入力すると、類似したメモのキーワードが抽出されます。また規模が類似している企業をレコメンドして過去のTO DOも確認できます。製品や企業規模で類似しているTO DOをピックアップすることで、営業過程や結果を参考できるようになります。商材や業界ごとにどう営業するか、企業全体の営業戦略を考えるアカウントプランニングの一助ともなりえます。
散在する情報を、苦も無く探し出す
最後にご紹介するのは、「横断検索システム」です。書類はファイルサーバー、営業メモはCRMなど複数のシステムに情報が点在することはよくあります。既存システムでは検索できない項目がある、高負荷になる全文検索を使えないなどの理由から、目当てのデータをなかなか見つけ出せない経験は多くの人があるのではないでしょうか。
このような時に役立つのが横断検索システムです。複数のシステムに点在する情報をデータパイプラインで繋ぎ、動作は別サーバで行うため既存環境への影響はありません。また、システムごとのログインが不要になります。検索結果は用途ごとにあらかじめ用意したテンプレートでの表示が可能です。これは営業向け以外の業務でも、データ検索の効率化に活用できるソリューションです。
さいごに
AIや機械学習を駆使して開発している、営業業務を効率化できる方法をご紹介しました。イノベーション開発チームではこれからも様々な技術を使ってお客様の課題解決につながるソリューションを提案していきます。AIや機械学習は、今回紹介した営業業務以外にも広く活用できる技術です。何か課題をお持ちの方や、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。
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