「飢餓をゼロに」は、SDGs(持続可能な開発目標)のゴールのひとつです。つまり世界中の人々が、飢餓をなくそうと力を合わせているのですが、その一方で飽食による問題も後を絶ちません。はたして解決策はあるのでしょうか。そのカギの一つが、どうやら和食に隠れているようです。
食肉を得るためには、その10倍もの穀物が必要になる
食にまつわる問題は時代とともに変化しています。現在は総熱量(カロリー)の面から見れば、地球全体で絶対的な不足があるわけではありません。あくまでも計算上の話ですが、農作物は世界の人が食べられるだけ生産されています。しかし先進国の人々が、穀物などを飼料として大量に使って生産した肉類を贅沢に食べてしまうため、発展途上国の人々へ十分に行き渡っていないのが現実です。すなわちこの問題は、“食糧”の問題ではなく、 “食料”の問題として考えなければなりません。
北半球に多い先進国では食べ過ぎで健康を害している人が多く、南半球の途上国では飢餓で苦しんでいる人が多いため、食料問題は「北の飽食、南の飢餓」などと表現されることがあります。さらに、先進国では脂がのった食肉を得るために、畜産動物に穀物を大量に与え、運動を抑制した高密度の状態で飼育するケースが多く、動物福祉の観点からも問題視されています。
野菜などの植物性食品に比べ、肉は適度な弾力のあるタンパク質のほか、うま味を呈するイノシン酸やグルタミン酸などが多く含まれ、脂ものっているのが特徴です。このため、肉を口に入れると、まず脂のまろやかさを感じ、次に適度な歯ごたえの後に強いうま味を感じるので、満足感が高く、食べ過ぎがちになるのです。そのせいもあって、先進国の人々には肉の過食による脂質の過剰摂取が多く見られます。先進国では1日の平均摂取熱量が2,700kcalを超えており、食べ過ぎの傾向があるのですが、日本だけは適正な量(2,200~2,700kcal)を食べている国です。この理由は完全に証明されてはいませんが、食文化の違いによるところが大きいと考えられます。
食料問題は、食肉の生産を大幅に抑え、全員が穀物を積極的に食べれば解決することができます。でも、現実的にそれは極めて困難な話です。経済力のある先進国の人たちの、費用をかけてでも好きなものを食べたいという強い気持ちと、それによる行動を抑えることはできないでしょう。彼らをルールなどで縛ることはできません。ではどうするべきか。その解決のカギは、和食にあると考えています。和食はおいしいだけでなく、栄養面も優れた、ヘルシーな料理ジャンル。和食の力をうまく使えば、先進国の人の過食を防げる可能性があります。
国際の関連記事
からの記事と詳細 ( 「食料問題」解決のヒントは和食にあり!? - Meiji.net )
https://ift.tt/StGFmTk
No comments:
Post a Comment