仕事にもスポーツにも趣味の活動にも情熱を燃やしている人は輝いている。誰にも時間は平等にあり、決して両立は簡単ではない。やりたいことすべてに本気で挑み、充実した毎日を過ごすためのヒントを探ろうと、フルタイムで仕事に励みながら全国大会で好成績を挙げる大垣市のイビデン弓道部を訪ねた。
的を前に10人が正対すると、和気あいあいとした雰囲気が一転し、静寂に包まれる。呼吸を整え、弓を高く持ち上げ、ゆっくりと引いていく。引き切った瞬間は時間が止まったかのよう。矢を放っても姿勢は崩れない。すべてが凜(りん)としている。
イビデン弓道部の練習風景だ。現部員は18~45歳の11人。大垣市米野町の市武道館の弓道場で平日は退勤後に午後9時まで週4回練習。毎年6月の全日本勤労者選手権大会、10月の全日本実業団大会の優勝を目標に掲げ活動している。
部のモットーは「何事にも向上心をもって取り組む」。教えてくれたのは財務部に勤務する弓道部部長の黒田知子さん(44)。仕事も弓道も今日の自分から少しでも明日は向上するようにと精進を重ねている。本人としては「オンとオフの切り替えはあまり意識していない」ものの、射に納得できた時は結果的に無心になっているという。
練習日はどんな日課になっているのだろうか。経営企画部秘書グループに勤務する弓道部主将の奥田瑠華さん(26)に聞いた。
冬場はまだ暗い早朝に起床。出社してフルタイムの勤務。退勤後、軽食を取った上で武道館に行き練習。帰宅は午後10時ごろ。日付が変わるまでの就寝を心がけている。「プライベートの時間が取れないけれど、弓道が大好きなので両立できている」。時間の使い方で大切にしているのはメリハリという。
年間で出場する競技会は約40。遠征費などは会社が負担し、試合の時は職場を挙げて送り出してくれる。期待に応えるために部長も主将も強調するのは「試合で結果を出す。職場にいる時は全力で仕事する」こと。青木武志社長は「試合や練習を見させてもらうと本当にこちらも元気をもらえる」とエールを送る。
弓道部は1954年に創部。休部を経た97年の再開当初、日本一を目指す雰囲気はまだなかったが、日々の精進を重ね、今では日本一が明確な目標に。2019年の全日本実業団大会では5度目の団体優勝を飾った。現状に満足せず、努力する過程には大切なものがある。「時間がかかっても、こつこつとやっていってほしい」。黒田さんが若い部員に伝えていきたい思いだ。
会社のサポート、職場の理解、仲間の存在があり、根底には弓道への情熱があり、「仕事第一」と「弓道日本一」に取り組む好循環が生まれている。来年は創部70年の節目。平常心で臨むが、目標の日本一への思いは熱い。
からの記事と詳細 ( 仕事も趣味も両立するヒント「何事も向上心/時間の使い方にメリハリ」全国大会好成績、イビデン弓道部 - 岐阜新聞 )
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