米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はインフレ減速の証拠をさらに確認したいと述べつつ、高金利が労働市場に及ぼし得るリスクが当局者の間でますます懸念されていると述べた。
パウエル議長は9日、上院銀行委員会の公聴会で議員の質疑に応答。利下げのタイムラインを示すことは控えたが、雇用市場冷え込みの兆候が増えていると強調した。
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「われわれが直面するリスクは高止まりするインフレだけではない」と議長は指摘。「最新のデータは労働市場の状況が2年前に比べて著しく冷え込んだことを示した。過去2つの統計が発表されるまで、このような発言はしなかっただろう」と説明した。
パウエル議長は半期に一度の議会証言に臨んだ。事前に配布された原稿によれば、議長は利下げが少な過ぎる、ないしは遅過ぎた場合、経済と労働市場をリスクにさらす恐れがあると語った。
「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると議長は発言。また最近のデータはインフレ面での「さらなる緩やかな進展」を示していると語った。
「政策引き締めの緩和が遅過ぎたり、少な過ぎたりした場合、経済活動と雇用を不当に弱める恐れがある」とパウエル氏。一方で利下げが早過ぎたり、多過ぎたりした場合は、インフレ面での進展が失速または反転しかねないとも述べた。
パウエル議長の発言が報じられた後、外国為替市場では円がドルに対して下げ幅を拡大。一時1ドル=161円52銭を付けた。
議長は「さらなる良好なデータが見られれば、インフレ率が2%へ持続的に低下しているという確信が強まる」と語った。パウエル氏は10日には下院金融委員会の公聴会で証言する。
パウエル議長の発言は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月30-31日の会合で利下げに動く可能性が低いことを示唆する。
市場では、9月に初回利下げが実施される確率が70%強となっている。年内については0.25ポイントの利下げが2回あるとの織り込みだ。
パウエル議長はデータが正当化する場合は利上げもあり得るとしつつ、「インフレ面でさらなる進展を遂げ、労働市場が強さを維持する中、適切なタイミングで政策緩和を始めるというのが方向性として可能性が高いように思われる」と語った。
労働市場については「完全にバランスを取り戻したもようだ」とし、最近のデータは「労働市場の状況がかなり冷え込んできたという非常に明確なシグナル」を送っていると説明。
労働市場は「強いが過熱してはいない」とし、FOMCの景気抑制的なスタンスが機能し、需給バランスは改善していると付け加えた。
原題: Powell Flags Rising Risks to Jobs While Avoiding Rate-Cut Timing(抜粋)
(議長の発言内容を追加し、更新します)
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