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Wednesday, April 8, 2020

コロナショックを乗り切る投資方法、リーマンショックの動向がヒントに | 仮想通貨コラム | 仮想通貨の比較・ランキングならHEDGE - 金融・投資情報メディア HEDGE GUIDE

コロナショックにより様々なリスクアセットが急激に下落し、影響は長期化する恐れが出始めました。日本でも外出自粛のムードが広がりを見せる中、時間があるから投資をするという危ない考えをする人も出てくるでしょう。実際に、証券会社の口座開設の申し込みが急増している様子であり、仮想通貨の口座開設も同様の動きとなってきています。

このように仮想通貨投資を始めた初心者の方は、世界的な金融市場がショックを受けるほどの市場環境で何か投資アイデアが浮かんだとしても、それが正しいかどうか判断に迷う人も多いでしょう。

筆者は、前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行なっており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。この記事ではリーマンショックのような歴史的な重大イベントを経験していない方に向けて、この相場をどう考え、どう乗り切ればいいのか、私見も交えて説明したいと思います。

目次

  1. コロナショックを乗り切るためには??
    1-1. コロナショックとビットコイン相場の振り返り
    1-2. ビットコインが急落した理由と背景
    1-3. リーマンショックのポイント整理
  2. コロナショック後のトレードチャンス
    2-1. ビットコインに流れ込む機関マネー
    2-2. ビットコインに買いを入れるタイミング

コロナショックを乗り切るためには??

1-1. コロナショックとビットコイン相場の振り返り

まずコロナショックにおいてビットコインがどのような値動きになったのかを見ていきたいと思います。年始にアメリカの地政学リスクが顕在化したことから、ビットコインはリスク回避資産のような動きとなり、上昇方向へ転じていました。アルトコインも総じて上昇しており、「2019年までの弱気な相場が払拭されるのでは」という期待も生まれる動きとなっていました。しかし、突如コロナウィルスの問題が発生して以降、ビットコインは下落ムードとなり、世界の株が暴落した3月12日には1日で40%超の下落を見せ、年初からの好調ムードを覆す展開となっています。

下図は今年のビットコインのチャートです。大きく大陰線をつけている日に40%超下落しているのが見てわかると思います。
Corona 1
この相場で一番理解すべき点は「なぜこんな急落をしたのか?誰がどんな理由で売却をこれだけ行なったのか?」ということです。ここに今後の相場の展開を考える重要なヒントがあります。

1-2. ビットコインが急落した理由と背景

3月12日にビットコインが急落した理由はいろいろと推測されていますが、個人的な結論は以下のチャートに現れていると思っています。これは当日のビットコインと他の伝統的なアセットクラスの動きです。
Corona 2
通常では株と債券&GOLDは逆相関の動きになりますが、このタイミングでは「株売り、債券売り(チャートでは金利の上昇を表す)&GOLD売り」と売り一辺倒となっています。そしてビットコインも売られています。これは教科書で習う動きとは全く別の動きと言えます。そして、この原因の一つは「証拠金不足による投資家の換金売り」と考えられます。

これだけ全てのアセットクラスの価格が下落すると、あっという間に評価損は膨らみ、レバレッジの掛けられたロング(買い持ち)ポジションは途轍もないスピードで強制決済が加速します。「証拠金不足」とは、FXやCFDであればポジションに対する「証拠金維持率」が低下して、損失を補うために追加証拠金「追証」として現金預託が必要な状況を指します。

3月26日の日経新聞によると、ABNアムロというオランダの証券会社では顧客の証拠金不足金220億円が入金されず、ABNアムロが会社として損失を被りました。損失に耐えきれず閉鎖するファンドも出ており、あらゆる市場が総じてダウンする相場環境の恐ろしさが表れています。

このような市場環境で投資家は、「一旦避難させる」、または「どうしても守りたいアセットクラスに資産を回す」という思考が働き、とりあえず資産を売却する動きを取ります。このような投資家心理が今回のビットコインの下落にも大きく影響しています。

またビットコインの急落の理由としてもう一つ重要なファクターがあります。それは重要なレジスタンスラインをブレイクしたことです。下図のチャートをご覧ください。
Corona3
青色の水平線は昨年から機能する重要なサポートラインです。2019年5月と年末の2回サポートされています。3月にビットコインはこのサポートラインをブレイクアウトしたことで、ストップロス(損切り)の売り注文が発動し、下落幅を伸ばしました。

その後反発するも、今後は以前のサポートラインがレジスタンスラインに転換して機能しています。上昇トレンドが下降トレンドに転換したと見ることもできます。下図は取引量を示したチャートです。明らかに今回のタイミングで取引高が急増しているのが理解できるでしょう。
Corona4
青丸印のタイミングで取引高が急増しています。売りのストップロスが発動したと推測される現象であり、トレンドが大きく変化したと捉えるのが妥当でしょう。

ここからは、コロナショックを経た今後の相場展開を考えていきたいと思います。今回の出来事はリーマンショックの再来とも言われています。リーマンショックと本質的な原因は異なりますが、重要な共通項があると思っています。そうしたポイントを解説し、相場予想をしたいと思います。

1-3. リーマンショックのポイント整理

リーマンショックは2007年末に起きたサブプライムローン問題を皮切りに、2008年に米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻につながり、世界の金融市場が混乱の渦に巻き込まれました。リーマンショックでは何百兆円もの資産が消滅したと言われています。

サブプライム問題の原因は、証券会社がリスク管理が不十分なデリバティブ(金融派生商品)を組成、販売し、その構造が破綻したことにあります。その後中国が未曾有の大規模緩和を行い、米連邦準備制度理事会(FRB)も「非伝統的金融政策」と呼ばれるQE(量的緩和)を何度も行なって、市場に莫大な資金を注入したことで景気悪化に歯止めをかけようとしました。その結果、リーマンショック後の数年で株価は大きく上昇します。リーマンショック前の高値をあっという間に超え、10年を越える上昇相場が継続しました。

しかし、中央銀行のバランスシートは膨れ上がり、その対応をどうするかが議論されていたのがここ数年の流れです。そこへ、コロナショックが起きたため、各国の中央銀行は再び市場に資金を注入しようとしているのです。

それでは、実際のリーマンショック時の資産の動きを見ていきましょう。
Corona5
上図のチャートはリーマンショック時の米国株、米国債金利、そしてGOLDの値動きです。今回のコロナショックと同じように、3つの資産が売られています。しかし、その後に株価とGOLDは反発しており、セオリーでは株価と逆相関となるべきGOLDが順相関になっています。この原因こそが、コロナショックで起きた現象と同じ「証拠金不足による投資家の換金売り」です。しかし、その後もたらされた莫大な資金注入によって株もGOLDも債券価格も全部上昇する動きとなりました。この時、投資初心者は予測不可能な動きに困惑していたことを覚えています。

つまり、リーマンショックとコロナショックの共通項は「大規模な金融緩和により資金が市場で溢れかえる」と言えます。リーマンショックの時、銀行は値上がりが期待できる株式や中央銀行に余ったお金を投じました。景気対策を目的に実行された大規模な金融緩和は、詰まるところ株価対策に終始したのです。それでは、このリーマンショックの動きを通じて今回のコロナショックをどのように考えて投資すべきかをまとめたいと思います。

②コロナショック後のトレードチャンス

2-1. ビットコインに流れ込む機関マネー

2008年リーマンショックの動きは、今回のコロナショックを考える上でとても重要なヒントを残しました。それは、行き場のない資金が市場で溢れかえった場合に「リスク資産に資金が向かう」という傾向が示された点です。

世界各国の中央銀行が大規模な金融緩和を行なう中、コロナウィルス問題が落ち着く過程で投資チャンスが訪れると考えています。また、「仮想通貨」はリーマンショック時にはなかった資産クラスです。

大規模な緩和マネーが流れ込む中、その一部だけでも仮想通貨市場に流れてくれば相当なインパクトを及ぼすでしょう。そのため、私は「今後のビットコインは上昇方向で見ておいたほうがいい」と考えています。

多くの仮想通貨の中でも、大口投資家が購入するのはビットコインのみです。なぜなら、2018年の仮想通貨バブルの崩壊以降、個人投資家が激減しています。同時に、バブルの動きを見た機関投資家やヘッジファンドが食指を伸ばしています。この動向は2018年以降の市場ドミナンスの推移に反映されています。ビットコインに市場の資金が集まり、アルトコインが売られています。これは市場プレイヤーが入れ替わった一つの証左です。

アルトコインは流動性が薄いため値動きも激しく、バブル前後は個人投資家の遊び場となっていました。個人投資家が減少する中で、流動性が厚い市場を好む機関投資家の参入が進み、まずは「ビットコイン」に資金が流れ込んでいます。

下図は仮想通貨市場ドミナンスの推移です。2018年から明らかにビットコイン一強時代となっています。
Corona6

2-2. ビットコインに買いを入れるタイミング

コロナショック以降、私は仮想通貨全体にとって良い影響が出てくると思っています。ビットコインに資金が集まりやすい構図に変化はないため、トレードをするなら「アルトコイン売り/ビットコイン買い」という仮想通貨同士のトレードも有効と考えています。

仮想通貨の保有リスクを取れるのであれば、「日本円売り/ビットコイン買い」でもいいのですが、より安全に長期的な運用をしたいのであれば仮想通貨同士のペアでビットコインを買うことをお勧めします。

エントリーのタイミングは「コロナ感染者が鈍化してくるタイミング」です。また各国政府がコロナウィルス対策を緩め、経済に目を向け始めた時がチャンスと捉えてください。コロナウィルスは最終的には落ち着くでしょう。しかし、強力な経済対策はその後も継続します。そこに投資家心理とのギャップが生じると考えています。つまり、量的緩和による資金が市場に溢れ、コロナウィルスの不確実性に躊躇していた投資家が徐々に資金を投下するタイミングがねらい目です。

このタイミングはゆっくりと訪れるため、日々ニュースを見ながら淡々とゆっくり買っていけばいいでしょう。ビットコインは大分下落してますが弱気ムードになる必要はありません。ビットコインの外部要因となる「緩和マネー」が今後の相場を押し上げると予想しています。

これは筆者個人の見方ですので、投資戦略の判断材料として参考に留めて頂けると幸いです。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。 【保有資格】証券アナリスト
中島 翔

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