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Saturday, November 14, 2020

<Meet STEAM> 数学をテーマに作品連載 漫画家・蔵丸竜彦さん - 中日新聞

蔵丸竜彦さん

蔵丸竜彦さん

  • 蔵丸竜彦さん
  • 「数学ゴールデン」1巻の表紙と一場面 (C)藏丸竜彦/白泉社

 国際数学オリンピック日本代表を目指す高校生が奮闘する漫画「数学ゴールデン」。高度な数学を題材にした作品ながら「スポ根漫画のように熱い」と話題です。作者の蔵丸竜彦さん(34)は、高校や塾で数学を教えていた経歴の持ち主。「数学をやると自分の基準を持てるようになる」と話します。 (聞き手・白井春菜)

物事を客観的に考え、自分の基準持てる

 −なぜ数学を漫画に。

 他の人に描けなくて自分に描ける漫画は数学かなと思って。数学のイメージって「美しい」「冷静」とか「理論的」とかですよね。その裏にある挫折や挑戦は物語に描かれていないんじゃないかと。熱中するものの一つに数学があってもいい。そこで野球漫画の「甲子園」のように、数学オリンピックを主人公の目標にしました。雑誌の新人コンペに応募するため、実は別の題材で読み切り作品を考えていたのですが、どうしても進まなくて、締め切り直前に「やっぱり自分には数学だ」と。第一話は三日間で描き上げました。

 −元数学講師としてのこだわりは。

 せりふには説得力を持たせたいと思っています。作中に出てくる「ラムゼーの定理」などは実際に自分で解きながら描いています。解答を導く時に重要なキーワードをせりふとして書いているので、分かる人には感心されます。また、数学ができる生徒にはガリ勉タイプだけでなくて、ちょっとやんちゃだとかいろんな子がいたり、数学ができなくても数学的な感覚がある子がいたり。そんなリアリティーを登場人物に反映させました。でも何より、数学が苦手な人もエンターテインメントとして楽しめる漫画にしたい。

 −学校生活を振り返ると。

 子どもの頃から算数、数学は好きでした。でも「上には上がいる」と思っていて。与えられた課題はこなすものの、能動的に数学オリンピックに挑戦しようなんて思わなかったです。高校生の時にこの漫画を読んでいたら、もしかしたら変わっていたかも。高校生でこんなにチャレンジしていて、描いていてうらやましいです。

 −学校教育に思うことは。

 教師をしていた頃から、「アクティブラーニング」とか「個性を伸ばそう」とかばかりだと、しんどい子がいるんじゃないかなと考えていました。もちろん生徒一人一人にはそれぞれ魅力があります。でも仮に「やりたいことを全部自分で決めていいよ」となったら、「できない」という子も出てくるのでは。詰め込みや画一的な教育は批判されがちですが、一定の制限があるからこそ個性を出せる場合もあると思います。

 −今後の夢は。

 より多くの人に数学の魅力を知ってほしいです。数学的なセンスというのは、物事を少し引いて客観的に見ることができる感覚。数学を学ぶと、物事をデータに基づいて冷静かつ抽象的に考えることができます。そうすれば自分の基準を持てるようになります。数学に拒絶反応が出ている子もいますが、この作品を読んだ後は「ちょっとやってみよっかな」と一瞬でも思って、問題集を開いてくれるのでは。数学は世界共通の「言語」。

 くらまる・たつひこ(ペンネーム) 1986年、鹿児島県霧島市生まれ。2009年、九州大理学部数学科卒。塾や高校の数学講師として3年間勤務。17年、青年漫画誌「モーニング」(講談社)で読み切り作品「数学少年少女」でデビュー。19年10月から青年漫画誌「ヤングアニマルZERO」(白泉社)で「数学ゴールデン」を初めて連載中。20年6月に単行本1巻が発行された。


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