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Tuesday, June 1, 2021

【道標 経営のヒント 284】10~20代の約半数、ほぼテレビを見ず 佐々山建築設計社長 佐々山 茂 | - 観光経済新聞

 「10~20代の約半数、ほぼテレビを見ず」とNHK放送文化研究所が20日に発表しました。客室でテレビの位置を気にしながらプラニングしていたのが一昔前のような気がします。

 先日、会社帰りに山手線で観光経済新聞を広げていると、目の前では皆さんスマホを見ていました。朝の通勤電車でも新聞を広げる人は皆無で、確かに私の子供世帯は新聞も取らないし、家の固定電話もありません。葉書を出すのは年賀状程度で、たまに封書を出すと切手の値段が分からなく嫌になります。会社のFAXには勧誘チラシが勝手に入り、無駄で、名刺からFAX番号を消しました。

 私は1950年生まれですが、東京でも子供の頃は炭を使っていたし、風呂の水を井戸からくんでいました。こたつと火鉢で暖を取り、石油ヒーターを使いだしてアラジンのブルーフレームのカッコ良さに感激したのを思い出します。

 設計事務所で働き始めたころはまだ冷房が無く、汗をかきながら製図台に向かい、ドラム式計算機と計算尺に感熱式のコピー機を使っていました。20代後半からはFAXが入り、ワープロからパソコンの時代になり、表計算、CADとパソコン世代の走りです。

 この半世紀でエネルギーや情報は格段に便利になりましたが、考える力や想像力で文化的に進歩しているか、自戒を込めて疑問に思っています。

 世代が一回り上の先輩諸氏のアナログ的な才能には目を見張ります。構造を専門とする建築家は計算式を記憶していて、3桁の掛け算も暗算で、図面もフリーハンドで仕上げます。機械設備の技術士の方は配管を見て水の流れを想像し、問題点を指摘して解決に導きます。農業もする建築家は現在の環境問題に対する処方箋や観光の未来像を20年も前に予言するごとく文書にしていました。

 私たち日本人がアイデンティティーのよりどころとしている景観は、長い歴史の中で先人たちが温帯モンスーン気候と火山、地震といった厳しい自然環境に耐える形を地域のコミュニティで創り上げたものです。近年の50年は地球環境を消費することで生活の質を上げてきましたが、この流れを止めないと次の世代につなげません。

 通勤電車で定刻に集まる働き方からテレワークやワーケーションに移行し、都市集中から自立分散型社会に動き、若い人たちの旅の目的も楽しみだけから知の探究に向かっているように感じます。

 人々の意識は大きく変わっています。そのことをよく理解して、観光産業の新しい役割を考えたいと思います。

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