<オリックス6-0ソフトバンク>◇2日◇京セラドーム大阪
負けない男はMVPも最有力候補だ! オリックス山本由伸投手(23)が、ソフトバンク相手に今季3度目の完封勝利で、自身13連勝。16勝目を飾った。9回115球の熱投で2安打無失点。抜群の成績は25年ぶりVに関係なくMVPの最有力候補だ。チームは引き分けを挟んで6連勝。主砲吉田正が死球を受け途中退場と暗雲も漂うが、貯金を今季最多の13とし、2位ロッテと1・5ゲーム差とした。
山本は背筋を伸ばして、堂々とマウンドに立った。ファンを魅了するワンマンショーで、視線を独占。9回2安打無失点。ソフトバンク打線を相手に今季3度目の完封勝利で、96年以来25年ぶりの悲願Vへ1歩前進させた。
「ここまで連勝できていたので、自分に自信を持って、思い切ってマウンドに。いろんな方に支えられての1勝1勝なので、本当に感謝しています」
7回先頭の2番栗原に遊撃内野安打を許すまで、無安打だった。一塁を見つめ「いつも栗原さんが1本打つので、嫌だなと思いながら栗原さんを見ていました」と笑った。その後もリズムを崩すことなく、9回を投げ抜き16勝目。無安打無得点試合には「また次の試合で。今シーズンか、来シーズンぐらいには…。ふふふ。頑張ります!」と不敵な笑みを浮かべた。
27個のアウトを奪い、最後は記念球を手に取った。高卒5年目で37勝目。これまでのウイニングボールは「8割ぐらい僕がもらっています。ケースに入れて、実家に並べてもらってますよ」と白い歯を見せる。残りの2割は「その日が初勝利の選手だったり、記録や記念のある選手に。(その日は)もちろん遠慮します。チームが勝つことが一番なので」と剛腕で勝つ喜びを仲間と共有する。
これで5月28日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)からの連勝を13に伸ばした。58年の秋本と10年金子(現日本ハム)に並び、73年に米田が樹立した球団記録のシーズン14連勝にあと1と迫った。
防御率、勝ち星、奪三振…。ほとんどの項目でトップに位置し、もはやチーム順位に関係なくMVPの最右翼。優勝すれば選出は確実視される。中嶋監督からは「力みがなくいけている」と、あらためて評価された。チームは引き分けを挟んで6連勝。貯金は今季最多13。エースの投げる日は、必ず勝つ-。鉄則を守り、Vまで突っ走る。【真柴健】
▼山本が今季3度目の完封で13連勝。オリックスで13連勝以上は10年金子以来4人目となり、73年米田が持つ14連勝の球団記録へ王手をかけた。山本の3完封はすべてソフトバンク戦で、京セラドームのソフトバンク戦は3試合に登板して3完封。同一カードでシーズン3完封以上は10年に杉内(ソフトバンク)が日本ハム戦(4完封)金子が楽天戦で記録して以来、11年ぶり。00年以降、同一球場の同一カードでシーズン3完封は10年に京セラドームの楽天戦で3完封した金子と今回の山本だけ。
▼優勝チーム以外からのMVP 過去にセ・リーグで3度(2人)パ・リーグで11度(10人)ある。優勝せずに2度選ばれたのが王(巨人)と落合(ロッテ)で、王は55本打った64年と3冠王の74年、落合は3冠王の82、85年にV逸で受賞。オリックスでは210安打した94年イチロー、最多勝と防御率の2冠だった14年金子がチーム2位でMVPを獲得している。
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