北京冬季オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプ(HP)決勝で、11日に日本初の金メダルを獲得した平野歩夢(23)=TOKIOインカラミ=と、9位で終えた弟の海祝(19)=日大。2人が訪れ、歩夢が小学生時代に練習を重ねた南会津町の会津高原南郷スキー場では、歩夢を自宅に迎え入れて支えた同町の酒井喜憲さん(75)らが特設のパブリックビューイングに集まり、歓声を上げ祝福した。
同スキー場は、平野歩が小学生の時に環境を気に入り練習拠点となった。幼かった平野海も両親に連れられ訪れていた。
約20年前からスキー場のHPを整備する酒井さんは、経営していた建設会社でパワーショベルを2機(計1500万円相当)購入した。HPのあった山形県のスキー場に見学に行ったこともある。「借金の重みもあったが、歩夢のために、お客さんのために良いHPを造らなければいけないというプレッシャーになっていた」と快活に笑う。スキー場の星秀則支配人は「酒井さんは歩夢君や若い子たちとコミュニケーションを取って、より良いHPを造ろうという強い思いを持っていた」と明かす。
酒井さんは当時、新潟に住んでいた平野歩が練習に来た時は何度も自宅に泊め、車に乗せてスキー場まで送迎した。練習に明け暮れる姿が目に焼き付いているといい、「歩夢はものすごいパワーと根性のある子だった」と振り返る。
この日は、決勝1本目で平野歩が五輪で初めて、縦に3回転しながら横に4回転する最高難易度の「トリプルコーク1440」を決めると、会場は大きな拍手に包まれた。3本目で最高得点をたたき出し金メダルが決まると、酒井さんは立ち上がってガッツポーズし、涙を拭った。平野海の健闘にも惜しみない拍手が送られた。
平野歩がスケートボード男子パークに出場した東京五輪から約半年で結果を出したことに酒井さんは「挑戦し続け、誰もできないことをやった。ありがとうと言いたい」と声を震わせた。【三浦研吾】
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