いわゆる乗りつぶしでも、そうではない単なる乗り歩きでも、ときに悩ましいのが、行き止まりの路線、いわゆる盲腸線の扱いかもしれない。終点となる駅で別の路線に乗り換えることができなければ、いま来た道を折り返すしかない。それでは、同じ車窓の繰り返しとなる(往路と逆側の窓際に座る手はあるが)。
行ったり来たりは時間がかかる
この、同じ路線をシンプルに行き来する乗り方のことを「単振動」と呼ぶ向きがある。もちろん、それを頑固に否定したり拒絶したりするほどのことではないが、行きと帰りで変化をつけたいと思うのも自然な考えではないだろうか。
また、現実問題として「同じ路線の往復を繰り返すと、べらぼうに時間がかかってしまう」事例もある。例えば、四国の室戸岬を挟んで、西側に位置する「土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線」と、東側に位置するJR四国の牟岐線ならびに、その先にある阿佐海岸鉄道線。
特に阿佐海岸鉄道は、DMV(Dual Mode Vehicle)の導入で注目を集めている。ところが、この線とごめん・なはり線の両方に乗ろうとすると、徳島からいったん甲浦駅(と、その先のDMV直通先)まで行ったあとに折り返して徳島駅まで戻り、徳島線で阿波池田駅に、さらに土讃線で後免駅に移動して、今度は後免駅と奈半利駅の間を行ったり来たりという仕儀になる(あるいはその逆方向)。
「列車に乗るのが好き」「鉄道旅行が好き」といっても、使える時間には限りがある。そこで室戸岬を挟んで「∩」字形の大回りを余儀なくされるとなれば、行程立案で頭を抱えてしまってもムリはない。
特に目立ちそうな事例を挙げたが、これ以外にも、行き止まりのローカル線で長時間の行ったり来たりを余儀なくされそうな場所は、全国各地に散見される。
終着駅同士をバスでつなげないか
そこで鉄道以外の交通機関にも目を向けてみたい。つまり路線バスである。
あらゆる場面で使える手段ではないが、行き止まりの鉄道路線の終点同士、あるいは終点に近い駅同士を結ぶ路線バスが運行されていることがある。それを利用できれば、行程に変化がつくし、行ったり来たりでべらぼうな時間がかかる事態も回避できる。
先に挙げた、室戸岬の東西に位置する各線を筆者が2011年の初頭に一気に乗りつぶしたときには、奈半利からバスに乗り、室戸岬を経由して甲浦に抜けるルートをとった。これ以外でも、香川県ではことでんの志度線と長尾線の終着駅同士を地元のコミュニティバスでつないだ経験がある。
途中駅につないだ事例もある。えちぜん鉄道・勝山永平寺線の終点、勝山駅からバスに乗り、越美北線の越前大野駅に抜けた。そこから終点の九頭竜湖に向かい、福井にとって返すルートだ。
これらはいずれも2010年~2011年にかけての話なので、現在も同じ手が使えるかどうかについては、再確認の必要がある。鉄道と違い、バス路線の改廃は全国ネットの話題にならないから、なかなか情報が入ってこない。
どうやってバス路線を探すか
よそ者にとっては、路線バスの路線と時刻を知ることが難題である。そもそも、どこの地域にどんなバス会社があるのか、という話からして、地元の方でもないと知らないことが多いものだ。そこで、筆者が使ったことがある方法をいくつか紹介する。
まず、Wikipedia。目的となる駅の項目を拾い出してみると、その駅から出ているバス路線に関する記述が存在することがある。それを見つければしめたもの。バス会社の名前だけでも分かれば、あとはバス会社のWebサイトを検索して、そこで路線と時刻を調べることができる。
次に、Googleマップ。目的となる駅のあたりを地図画面で表示させてから、検索窓に「バス停」と入力して検索をかける。もしも近隣にバス停があれば、それが画面に現われるから、個々のバス停をクリックあるいはタップすれば、路線や時刻に関する情報を得られる。
念を入れるのであれば、Googleマップに頼るのはバス会社や路線の情報を得るまでにしておいて、当該バス会社のWebサイトを探して最終確認する。Googleマップが信用できないというわけではないが。
なお、かつてはバス路線が存在したが、現在は廃止になってしまった事例もある。その一例が、長良川鉄道と、先に名前が出た越美北線を結ぶルート。かつては長良川鉄道の北濃駅から3駅手前の美濃白鳥にあるバスターミナルと九頭竜湖を結ぶバス路線が存在したが、2002年に廃止された。筆者が長良川鉄道に乗ったときに、車内で携帯電話を出して「九頭竜湖まで行きたい」といってタクシーを呼んでいた人がいたが、これも1つの選択肢ではある。
過去帳入りした事例としては、札沼線(学園都市線)の終点・新十津川駅と、函館本線の滝川駅の間を、バス、タクシー、(もしも根性があれば)徒歩でつなぐルートもあった。ただし、バスは新十津川の駅前ではなく、近くにある役場の前に発着する。この「駅前ではないが近くにバス停がある」という選択肢も、調べてみる価値はある。
徒歩という最終手段
終着駅同士の距離がさほど長くなければ、最終手段「徒歩」も現実味を帯びてくる。路線図で、まず「A線の終着・B駅とC線の終着・D駅は、近そうではないか?」と当たりをつけたうえで、地図で確かめてみる。あとは自分の脚力と相談だ。今はスマートフォンの画面で地図と現在位置を参照できる御時世だから、道を間違えるリスクは減っている。
筆者が実際に経験した事例では、名古屋鉄道河和線に乗って終点の河和駅まで行ったあとに折り返して、途中の知多武豊駅で降りた。そこからJR東海の武豊線・武豊駅まで徒歩。これは600mぐらいしかないから楽勝だ。
このほか、関西本線(大和路線)のJR難波から、南海高野線の汐見橋まで徒歩移動したこともある。これも900mかそこらだから、十分に徒歩圏内である。
からの記事と詳細 ( 【井上孝司の「鉄道旅行のヒント」】鉄道以外の手段で終着駅同士 ... - トラベル Watch )
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