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Tuesday, August 1, 2023

【井上孝司の「鉄道旅行のヒント」】新大阪のはずが福岡!? 旅程 ... - トラベル Watch

流れる車窓をノンビリ眺めるのは楽しいが、なぜか往々にして眠気が襲ってくるのは不思議だ

 仕事を離れて、どこかのローカル線で車窓を眺めながらノンビリするのはよいものだ。まさに「心の洗濯」ができたような気分になる。ただし、なぜかそういうときに、往々にして眠気が襲ってくる。それだけならいいが、問題は、居眠りした結果として「寝過ごし」が発生しかねないこと。

名古屋駅の「プロント」にある名物(?)。ことに新幹線で居眠りすると、えらく遠くまで連れて行かれる懸念がある

居眠りは旅程崩壊の一因

 前回、「N700Aの普通車は腰掛が改良されて、居眠りするのに具合がよくなった」という話を書いた。しかし居眠りは、寝過ごし・乗り過ごしの原因でもある。これは、途中停車駅がある鉄道に固有の、かつ、途中停車駅で降りる場合の問題となる。

 飛行機なら、多くの場合には「A地点からB地点に飛んで終了」だから、寝ている間に目的地を過ぎてしまうような事態は起こらない。目的地に着いても寝たままだと起こされてしまうし、実際には接地の際の衝撃で目が覚めてしまうことが多いだろう。鉄道でも、列車の終点まで乗るなら、事情は似ている。

 宮脇俊三氏の名著「時刻表2万キロ」のなかで、「乗り遅れの原因でいちばん多いのは睡眠」とのくだりがある。乗り遅れのみならず、居眠りしていたら降りるべき駅を通り過ぎてしまった、というのも間々ある話で、実際、「時刻表2万キロ」でもそんな話が出てくる。

 幸いにも、筆者は居眠りで旅程を崩壊させたことはないが、他所から聞こえてくる話はいろいろある。例えば、東北新幹線に乗って寝過ごしたら、東北が目的地なのに北海道まで連れて行かれてしまった、といった類の。

 それに、旅程崩壊に至らなくても、「目が覚めたらちょうど降車駅」で、慌てて荷物を掴んで飛び降りる、という展開もあり得る。すると車内に忘れ物をする原因になりがちで、これは筆者もやったことがある。

 では、旅程崩壊や忘れ物などといったピンチを引き起こしかねない居眠りを防ぐには、どうすればよいか。

居眠り対策いろいろ

 一般論として、寝不足あるいは疲労は眠気のもと。それに加えて、満腹になっている場合、あるいはお酒に手が出た場合にも、眠くなりやすい。しかし、訪れた先の食べ物やお酒などに手を出すのも旅行の楽しみだから、それを犠牲にするのはうれしくない。別の対策を考えたい。

 クルマを運転していると、「居眠り防止用のガムやタブレット」の類に手が伸びることがある。ただ、列車で旅行する際に持ち歩くモノだろうか、という疑問もある。もちろん、持ち歩いてはいけないということはないのだが。

 あと、誰もが思いつきそうな手としては、コーヒーなどのカフェイン類がある。ただ、コーヒーをがぶ飲みしていると、今度はトイレが近くなって困る。特急列車なら困ることはないが、普通列車だとトイレなしのこともある。えてして、行きたくなったときに限ってトイレに行けない、あるいはトイレが手近にない、という事態になるものである。マーフィーの法則。

 それに、ことに普通列車に使用する車両はトイレの数が少ない。1~3両ぐらいならまだしも、6~10両編成でトイレが編成中に1~2か所となると、場合によってはけっこう遠い。

車内で缶コーヒー。あるいは、(もしあれば)車販のコーヒー。よくある楽しみだが、トイレが近くなりやすいのは難点かもしれない

 列車の終着まで行かずに途中駅で降りる場合、目覚まし時計を仕掛けておく方法も考えられる。しかし、これはいささか近所迷惑な話。音が出ない、バイブレーターで起こす方法なら使ってもいいかもしれないが。

個室でもない限り、車内で目覚まし時計を作動させるのは近所迷惑というものだ
その辺の事情はスマートフォンのアラーム機能でも大同小異。バイブレーターだけを作動させる手ならいいのではないか……とは思うが

立って歩くという、鉄道ならではの方法

 そこで個人的経験から編み出した対策は、「眠くなったら、席を立って少し歩き回る」。これは鉄道ならではの方法といえる。ただし、立錐の余地もないぐらい混んでいるときは、この方法は使いづらいのだが。

 また、普通列車だと途中駅で時間調整・待避・交換のために長時間停車することもある。そんなときに、ちょっと外に出て腰を伸ばすのもよいが、貴重品の盗難には注意したい。

 立って歩き回るのは、通路が狭い高速バスでは使えない方法だ。飛行機なら立って歩くことはできるが、あまり機内をウロウロする人はいないから悪目立ちしてしまう。機内で立つ人というと、せいぜいラバトリーに行くぐらいであろうか。

 実は、「眠くなったら席を立つ」方法には、単に眠気払いというだけでなく、それ以外の余録もある。例えば、座っているのと反対側の車窓を眺めるとか、先頭あるいは後ろの端に行って前後の車窓を眺めるとかいう楽しみ方がそれだ。路線によっては「眺めのよい側」が両方に存在することがあり、座る位置を決める際に悩むことがある。

先頭部まで行って、前方の車窓を眺めてみるのは、よい気分転換になる。ただし、これは車両の構造次第のところがある
列車が空いていて、かつ途中で長時間停車があれば、そこでちょっと車外に出てみるのもよい。これは函館本線の森駅で、遠方に駒ヶ岳が見える

 また、ウェットティッシュで顔や首回りを拭くのも、案外と効き目があるように思える。眠気覚ましだけでなく、物理的にスッキリするメリットもある。と思ってちょいと検索してみたら、世の中には「眠気覚まし用ウェットティッシュ」なんていうものまであるらしい。筆者は使ったことはないが。

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