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Monday, November 27, 2023

ドレッシングも商品開発のヒントに 「なべしゃぶ」生みの親が語る ... - 産経ニュース

エバラ食品が販売している「なべしゃぶ」シリーズ=横浜市(浅野英介撮影)

冬を代表する料理の一つである「しゃぶしゃぶ」でヒット商品として一般家庭に定着したのが、エバラ食品が販売している「なべしゃぶ」シリーズだ。平成30年の販売開始以来、つけだれいらずの手軽さと野菜がたくさん食べられる良さが支持され、しゃぶしゃぶのつゆ市場で先頭をひた走っている。飽和状態が続いていた鍋市場にしゃぶしゃぶという新たな領域を創出し、ヒットさせた裏側には、ある商品の存在が隠されていた。

出荷実績は発売初年度の約5倍

なべしゃぶシリーズは、しょうゆと昆布だしをベースに、ゆずやすだち果汁のさわやかな風味を合わせた「なべしゃぶ 柑橘醤油つゆ」や、アサリやホタテをベースにガーリック油の芳醇な風味をあわせた「なべしゃぶ あさりと帆立の貝だしつゆ」など計5種類を販売。令和4年度(4年4月~5年3月)の出荷実績は、発売初年度の平成30年度比で約5・3倍と成長を続けており、しゃぶしゃぶのつゆ市場の売り上げでは業界トップとなっている。

「伝統的な料理であるしゃぶしゃぶをより身近に、家庭でもカジュアルに食べられるところを目指した」。そう語るのは、なべしゃぶシリーズの開発を担当した同社商品開発部の枡田恵理子さんだ。

「なべしゃぶ」シリーズの開発を手掛けたエバラ食品の枡田恵理子さん

商品開発にあたり、しゃぶしゃぶの定点調査を進める中で、若年層ほどしゃぶしゃぶが「好き」と回答する割合が増えていることが分かった。

「外食でもしゃぶしゃぶを扱う店が増え、若年層にも受けが良い。ただ、家庭で行うしゃぶしゃぶに目を向けると、ごまたれなどはあるものの、あまり進化していなかった。家庭でしゃぶしゃぶを食べる際には、たれを入れる皿を人数分準備したり、洗い物が増えるなど、手間がかかることへの不満があることも分かった。そこで、つけだれいらずのつゆを考えた」(枡田さん)

ごま油なども調合

なべしゃぶを開発する上で試行錯誤を重ねる中、ヒントとなったのが「ドレッシング」だったという。

「しゃぶしゃぶの場合、普通のつゆでは味の絡み方が弱い部分がある。そこをどう補うか考えたときに、『油』が大事であることが分かった。ドレッシングは野菜にかけるだけでおいしくなるが、そこに共通点があるのではないかと考えた」(枡田さん)

ドレッシングは油と酸味がポイント。スーパーのドレッシング売り場にも足を運び、ドレッシングを薄めてしゃぶしゃぶを食べるなどして研究を重ねた。なべしゃぶシリーズでは、ごま油なども原材料に含まれているのが特徴だ。

エバラ食品が全国1千人を対象に、今年11月にインターネットで調査した結果(複数回答)によると、肉では「豚肉」が84%と8割以上を占めた。また、北海道では「ラム肉」の割合(32%、全国平均4%)が突出するなど、地域によっても使用する食材が違うことが分かったという。

枡田さんは「しゃぶしゃぶも鍋のように多様化していくことで、家庭での親しみやすさが定着していく可能性がある。(味としての)奥行きを増やしていきたい」と意気込んでいる。(浅野英介)

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