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Thursday, December 7, 2023

いつも期末は数字に追われる、がんばり過ぎて燃え尽きる… 伸び悩む営業がハマりがちな“落とし穴”を抜け出すヒント - ログミー

いつも数字の達成に苦しむ営業に足りていない「センス」

高橋浩一氏:「センス」というのは、従来は非常に伸ばしにくいと呼ばれていた領域なんですが、今回は「どうやってセンスを磨くか?」を可能な限り言語化してみたいと思います。

そこで2番目のアジェンダにいきたいと思うんですが、今日の本題である「営業センス」を3種類提示をさせていただきます。

まず1つ目は、会社と営業の間にある「目標達成センス」です。「あの人はいつも目標を達成している」「月末になっても慌てない」とか、目標を達成するための勘所ってあると思うんですよね。それを「目標達成センス」と言い表しております。

2つ目は、お客さまと関係構築がうまくできる「顧客志向センス」。これはスキルの問題もあるかもしれませんが、そこにもセンスが存在するのではないかということです。

そして3つ目は、自分自身を冷静に客観的に見つめる「自己認識センス」。やはり、自分をちゃんと客観的に見られているほうが成長スピードは早いですよね。ということで、今回はこの3種類のセンスを取り扱っていきたいと思います。

まずは「目標達成センス」について考えていきたいと思うんですが、目標達成センスに難がある営業担当がハマりがちなことって、どういうことなんでしょうか。

「顕在機会への視野狭窄」と書いてありますが、いつも数字の達成に苦しんでいる営業は、機会は目に入るんだけれども視野が狭いということですね。どういうことかと言うと、見積提示や決裁者同席依頼を勝負どころと認識するがゆえ、すでに手遅れの案件に気づかない。

要するに、その営業の人にとっては「さあ、見積もりを出すぞ」「決裁書、アポイントをいただくぞ」というところが勝負どころでも、それ以外に大事なポイントがあることに気づいてないんですね。

1社に依存すると目標達成が危うくなることも

「経済合理性の罠」は、今すぐのお客さま(直接)だけを大事にし、そのうちのお客さま(間接)を粗雑に扱う。要するに、今はニーズがあって予算があるよというお客さまだけを大事にする。「そのうちのお客さま」を大切に扱わないので、いつまで経っても目の前の数字に苦しんでいるということですよね。

そして「過度な楽観主義」。「たぶんうまくいく」という自己認識が強すぎて、リスク対策に漏れがある。例えばマネジャーに「どうなの? 今月いけそうなの?」「はい、たぶん大丈夫だと思います」と言って、月末に「すみません、今月厳しいです」と言ってくるようなタイプの方ですね。

「ロイヤル顧客への過度な信仰」は、一部のロイヤル顧客を大切にし過ぎ、売上を限られた顧客に依存する危険に気づかない。

売上のポートフォリオがあった時に、しっかりと売上を分散させておけば、お客さまの1社、2社で何かあったとしても困らないけれども、過度に依存するお客さまがいると、もしそのお客さまに何かあった時にたちまち目標達成が危うくなります。

そして5番目が「一発逆転の幻想」です。ミラクルを信じることによって、「必要な努力をせずとも良い未来が起こる」と勘違いしてしまうということですね。

「目標達成センス」とは長期目線が持てるかどうか

これらを裏返したものが「目標達成センスに長けた営業担当の行動原則」です。1つ目は「上流の原則」。受注間際(下流)よりも、案件発生段階(上流)で実質的な決着をつけにいく。こうなったら楽ですよね。見積もりを出す段階や、決裁者同席が勝負どころなんじゃなくて、もっと上流の部分で勝負しているということです。

2つ目が「間接の原則」。今すぐのお客さまだけではなく、「そのうちのお客さま」も大事にする。そして3つ目が「悲観の原則」。「たぶんうまくいく」ではなく、「うまくいかないリスクは何か」というところから考える。

4つ目は「分散の原則」。一部のロイヤル顧客に売上を依存する(集中)のではなく、顧客数を増やしておく(分散)ということですね。そして5つ目が「先行の原則」。期末にがんばるんじゃなくて、その段階で貯金を作っておくということです。

さて、どうでしょうかね。ざっと見ていただくと、「確かにこれが当たり前になっている人って、目標達成でそんなに苦労しなさそうだな」と、みなさんも実感されるんじゃないでしょうか。

これらのポイントをまとめると、「なんとか無理して目の前の目標を達成する」から、「がんばらなくても目標を達成し続けるためにどうしたらいいか」という観点に立っているかどうかなんですね。一言で言うと「長期目線」なのかもしれませんが、これが目標達成センスです。

過去の成功体験に引っ張られてしまう「安易な一般化」

では続いて、「顧客志向センス」に入っていきたいと思います。顧客志向センスに難がある営業の人には、どんなことが起こりがちか。1つは「関係の思考停止」。お客さまと関係を築くのに時間がかかることを、「とにかく時間をかけるしかない」というふうに思考停止する。

誤解がないように言いますと、時間をかけることは大事なんですが、「時間をかけるしかない」となってしまうと、ちょっと視野が狭まってしまいますよね。

「想像力の欠如」は、「もし自分ならされて嬉しい(嬉しくない)ことは何か?」という観点からのみ満足度を考える。

「もし自分だったら、丁寧に説明されたほうが嬉しいかな」と思ってお客さまに丁寧に説明してみたけれども、理解力が早いお客さまからすると、「なんかまどろっこしい。もっと簡潔にまとめてくれよ」と言われてしまったりする。要は、自分と相手が違うことを想像しないということです。

3つ目が「安易な一般化」。あるお客さまへの成功体験に引っ張られ、他のお客さまでもうまくいくだろうと考えてしまうということですね。お客さまは多様ですから、「このお客さまでうまくいったからって、他のお客さまでうまくいくとは限らない」ということがわからずに一般化してしまうと、成果が出にくいです。

「お客さまは神さまである」は、とにかくお客さまの機嫌を損ねないように言うことを聞こうとする結果、何も考えなくなってしまうことです。

DX商材の提案でありがちな“失敗例”

そして「無意味なマウント」もあったりします。お客さまより優位に立ち、「価値提供しなければ」という切迫感から焦ってしまう。お客さまにダメ出しをしてしまって、感情的な反発を招いていってしまったり。

最近よくあるケースとしましては、いわゆるDX商材で「御社の業務をDX化しませんか?」と提案される会社さんが、お客さまに対して「その業務、効率悪くないですか?」とちょっとストレートに言ってしまって、お客さまの気を悪くさせてしまうことがあったりします。

「いや、あなたたち、そんな非効率なことをやったら時代遅れですよ」みたいなことを匂わせてしまうということですね。でも、お客さまはお客さまで、そういう手段をとってこられたのには歴史や背景があるわけですから、そういったところをきちんと理解していきましょう。

顧客志向センスに長けた営業はどんな行動をしているかということなんですが、1つは「合理性の原則」。お客さまとの関係構築には、「時間」だけでなく何かしらの「理由」が必要だと心得ている。

合理的に行動するというよりは、「お客さまは合理的に行動しているはずだ」と考えるということですね。「お客さまが営業と関係を構築したり、気を許してくれるということは、こちらが何かの価値提供をしているからである」というふうにちゃんと変換ができている人は、お客さまとの関係が築きやすいですよね。

“嫌われないようにがんばる営業”をシフトする

次が「判断者の原則」。満足度を決めるのは自分、すなわち営業ではなく相手(=お客さま)であると心得ている。自分がされて嬉しいからといって、相手が嬉しいとは限らないということをちゃんとわかっていると。決めるのはお客さまであるということです。

そして「多様性の原則」。あるお客さまが喜ぶことでも、他のお客さまからは喜ばれない可能性があることを心得ている。ちゃんとその多様性をわかっていますよ、ということです。

そして「希少性の原則」。「お客さまは神さま」ではなく、こちらが希少な存在になれば交渉力が上がることを心得ている。

とにかく頭を下げて、「最後に値引きしますよ」というやり方だけじゃなくて、こちらがある程度の希少な存在になることによって交渉力が上がる。例えば、お客さまに対してすごく役に立つ価値をちゃんと出せる営業の人は重宝されます。

「自然体の原則」は、「お客さまより優位に立たなければ」という力みが消え、自然体でお客さまと向き合えている。力んでしまう営業の方っていらっしゃったりしますよね。でもお客さまからすると、自然体の営業のほうが安心感はあるわけです。

ということで、顧客志向センスは「お客さまに嫌われないように必死にがんばる」から、「冷静に価値訴求ポイントを模索する」へシフトすることができるかどうかが大事です。

「人の力を借りる=自分の能力不足」と捉えてしまう人も

では、3つ目の「自己認識センス」にいきたいと思います。自己認識センスに難がある営業担当のハマりがちなことは「バーンアウト」。責任やプレッシャーの影響を強く受けて、がんばり過ぎて燃え尽きてしまうことです。

あるいは「適性の悪用」ということで、すべてを「自分は営業に向いてない」に紐づけて、がんばることを拒否してしまう。半分言い訳みたいなことがよくあったりしますが、「いや、私は営業向いてないんで」みたいなことを言ってしまう。

「極端な自信不足」もあります。成果が上がっていない場合、「何もできていない」と自分にまつわるすべてを過小評価してしまう。やはり、自信がなさ過ぎるのも問題ですよね。

「否定への恐怖」は、お客さまや社内から指摘を受けることを「自分が否定された」と捉え、徹底的に避けようとする。営業はフィードバックをもらうことがとても大事なんですが、フィードバックをもらうことを拒絶してしまう人もいたりします。

そして「頼ったら負け」。人の力を借りる=自分の能力不足と考え、人を巻き込む選択肢を取りたがらない。ずっと上司に相談せずに自分で抱えてしまう営業の方って、やはりいらっしゃったりしますよね。

営業が強い会社にはフィードバック文化がある

では、自己認識センスに長けた営業担当はどういう人なのか。1つは「マラソンの原則」。そもそも仕事はアップダウンがあり、長期継続的なものであると心得ている。長い目線で考えて、焦り過ぎないということですね。

そして「スタイルの原則」。営業にはいろいろなスタイルがあるので、自分に合ったやり方で成果を出せばよいと心得ている。

次が「美点凝視の原則」。課題がたくさんあっても、「何ができているか」に注目して自分なりの強みを見いだしている。「全部ダメだ」というんじゃなくて、自分の強みは何なのかをちゃんと見られるということですね。

そして「成長機会の原則」。お客さまや社内から指摘を受けることは、自分にとっての成長機会であると、前向きに捉えて受け止めることができる。ある意味、フィードバックを好むということです。

営業が強い会社におうかがいすると、フィードバック文化がすごいんですよ。「営業が強い会社」で想像されるような企業のいくつかお名前を浮かべていただくと、漏れなくフィードバック文化が根付いています。

そして5つ目が「巻き込みの原則」。人の力を借りる=大きな仕事をするための手段と考えて、巻き込みを肯定的に捉えるということです。要は「人に頼るのはいいことだ」という世界観ですよね。

ということで、「自己認識センス」を左右する鍵は、「今の自分がどういう評価をされるか」というところから、「長期活躍できる自分かどうか」にシフトすることができるかどうかです。

3つのセンスについてまとめてみました。会社から与えられた責務を全うする「目標達成センス」。お客さまに貢献し、喜ばれる「顧客志向センス」。自分の立ち位置を正しく捉える「自己認識センス」です。

<続きは近日公開>

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