スヌーピー、チャーリー・ブラウン、ルーシー。世界中で愛される漫画『Peanuts(ピーナッツ)』を終生描き続けた天才漫画家のチャールズ・シュルツ。
世界で誰もが知るその作品で桁違いの成功を収める一方で、常に劣等感に苛まれていたという。その生涯を、手紙やメモなどを含む秘蔵資料と親族・関係者への取材により描き出した書『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』より、チャールズ・シュルツの人となりを伝える一節ここで紹介する。
※本稿はデイヴィッド・マイケリス(著)・古屋美登里(訳)『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』(亜紀書房刊)より一部抜粋・編集したものです。
スヌーピーの父、チャールズ・シュルツは「近寄りがたく理解しがたい人物」
この世を去ったとき、チャールズ・シュルツは、50年にわたる漫画家としての人生を読み解く手がかりを、自身の漫画のなかに埋め込む形で残していた。
控え目だと思われていた人物にしては驚くほど多くのインタビューに答えていて、些細なことにまで話を進めたり、思いがけないほど虚心坦懐に語ったりすることもあった。
ひとりの大人として、出会った人には誰にでも的を射るような、それもかなり私的な質問をするのを常とし、またどこへ行っても人生の不可解さを追求しようとした。
ところが、自身のことや作品の意図を理解しようとする試みにはいささかの関心も示さなかった。コマ割り漫画が自分の代わりに己(おのれ)を語ると言い続けた。
多くの芸術家と同じようにシュルツも、作品を介してのみ自己を語ることができるという姿勢を貫いた。北カリフォルニアのサンタ・ローザにある静かなアトリエで、自分しか知らない記憶を探り、変わった癖を探し、それを毎日注意深く巧みに描く4コマ(後に3コマ)漫画へ符号化していった。
1940年代に彼は通信教育から、「漫画とは、本当は、ひとつの考えを別の姿に変えて表現する絵である」ということを学んだ。彼は機会あるごとに、読者に手がかりを与えてきた。
「私の漫画を毎日読んでいる人なら、私のことがわかるはずです。私がどういう人間か正確に知っていますよ」
本当にシュルツを知っていた人たちには、彼が「近寄りがたく、理解しにくい」人物であることがわかっていたし、少なくともある友人は、「彼は誰に対しても馴れ馴れしい態度をとろうとしませんでした」と述べている。
また、彼の事情をよく知る別の友人はこう述べている。「自分のことを単純な男だと思いたいようでしたが、単純どころではありませんでしたね。複雑で得体のしれないところがありました」。
シュルツには謎めいたところが、他者をよせつけないところがあった。彼を語るときによく使われる言葉は、「引っ込み思案」「偉ぶらない」、そして「複雑」だった。
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March 24, 2020 at 09:51AM
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「世界で最も稼いだ漫画家」が、たった一人で50年間も描き続けた謎(PHP Online 衆知) - Yahoo!ニュース
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