秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
泡だらけの日々!!
あー。学生時代ほぼ病欠無しで、タフさには自信を持っていた俺だが、さすがに初担当以降のヘビーさはキツかったなあ。
とにかく毎晩3時間前後しか寝ずにぶっつづけで働いた(締め切り前は必ず完徹)。んで、便所やらエレベーターでひっくり返って寝ちまったりしたし、電車のつり革につかまったまま寝ちゃって、駅を乗り過ごしたりしてたな。風呂に入ってるヒマもなかったんで「おめえ臭えな」と言われたりな。
だけども、ハタ目から見たら、非常にハイで元気そうに見えたらしい。早い話がアドレナリンが常時出まくってたのね。
こうなると、さあ寝るぞって状況でも寝れやしない。完全にジャンキー状態だからな。んで、まだ20代で精力ビンビンであるからして、風俗に救いを求めたワケだ。文句あるか!!
いや、経験した野郎なら理解できると思うが、常に緊張しまくった状況を鎮めるのに一番手っ取り早いのは“女体”なんすわ。まあ、この頃、正直毎週ソープランドだの、移動が面倒臭え時は宅配でヤッておりました。
そりゃあ、タダでやらせてくれるガールフレンドなんていたら良かったんだが、日頃、全く相手にできず週に1~2回ヤルためだけに会ってくれってのも、女にとっちゃあ堪らんだろうぜ。ゼニで解決するのが一番スマートなんじゃね?
つーワケで、残業代は飛躍的に増えたんだが、それは丸々ソープやら何やらで、文字通り“泡”と消えちまった。世の中は上手くできているもんだなあ。
そんな日々が続き、俺が入社して2年目で壁村さんは、同じ編集部内で隔週刊の青年誌を突然創刊!!
これで20人弱の編集部で、月刊(月刊チャンピオン)、隔週(ヤングチャンピオン)、週刊(週刊チャンピオン)を回すのだ。壁さんの「2つ出来るヤツぁ、3つも4つも出来る!!」というワケのわからん号令の下、まさに狂気の沙汰が始まっちまった!!
元々あの当時、我々は雑誌を校了するだけじゃなく、コミックスもデザインから何から全部、担当者が手作業で作っていたからね。
デザインを外注するなんて発想すらなかった。デザインワークなんざ習ったことない素人が、トレッシングペーパーと色鉛筆で格闘していたのよね。そんでほぼ毎日、原稿取りやら打ち合わせやら校了が途切れずにやってくる!! とんでもねえストレス爆発!!
そもそも男だらけで、編集長を筆頭にハナっからヤンチャな男子校編集部の“殺気”濃度は物凄い勢いで上昇していった!! ……そして、待て次回!!
(次回は7月13日掲載予定です)
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