東京オリンピック・パラリンピックは開幕まで5カ月あまりの土壇場でトップが交代した。新型コロナウイルスの感染拡大で開催は危ぶまれており、この先、難しい判断が待ち受ける。組織委員会の森喜朗前会長(83)が女性蔑視発言で表舞台を去る中、一連の騒動で最も存在感を大きくしたのが東京都の小池百合子知事(68)だ。「森さんがいた時はおとなしくしていたが、これからは小池知事が主導権を握る」と大会関係者は口をそろえる。
開催都市のトップである小池氏だが、表舞台で東京五輪の旗振り役を務めていたのは、2013年9月の招致決定時の首相だった安倍晋三氏(66)とその政治的な師である森氏だった。
象徴的だったのが、19年10月。酷暑下の開催に懸念を示した国際オリンピック委員会(IOC)は突然、マラソンと競歩の札幌移転検討を発表。IOCは森氏には打診していたが、小池氏には発表直前になるまで知らされなかった。20年3月、IOCに大会延期を提案したのも安倍氏。パイプ役は森氏だった。
小池氏が都知事に就任した16年8月以降、森氏との間では会場移転や大会経費の負担を巡り、綱引きを繰り返してきた。だからこそ、小池氏が蔑視発言を受けて10日、IOCの提案する五輪準備の4者協議に欠席する意向を示すと、「森氏に辞任を迫った」とのメッセージで衝撃を広げた。
ただ小池氏のこの発言の真意は定かではない。ある都議は「知事には森氏を辞任させるつもりはなかったが、周囲が発言を大きく捉えて影響が広がった」と語る。実際、小池氏はこの発言以降、目立った言動は控えている。だが関係者は次期会長候補選考の際「小池氏はどう考えるか」を意識していた。先の都議は「今後、組織委は知事の存在をより意識するだろう」と述べ、その現象を「ファントム(幻影)」と例えた。都幹部も「組織委は今ガタガタの状態で、自然と知事の安定感や信頼感が高まるのではないか」と見ている。
一方で、森氏に師事する橋本氏が後任会長に就いたことで、森氏の影響力も残る。就任に難色を示していた橋本氏を森氏が説得したとの証言もある。橋本氏は就任の記者会見で「政治の師匠である前会長は私にとって特別な存在。経験と実績があり、アドバイスをいただかないといけない局面はある」と強調した。
開催への世論の支持を高めるために発信力を持つ小池氏と、IOCとの太いパイプなど外交力を持つ森氏。手を結べば、開催への推進力となるが、観客の制限や、さらに増加も予想される費用分担など重い決断を巡り、2人の考えが再び衝突する局面も想定される。小池氏は橋本氏の就任を受け「全ての関係者と一丸となって取り組んでまいります」とコメントした。【村上正、竹内麻子、斎川瞳】
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