北京オリンピック第2日は5日、ノルディックスキー・ジャンプ女子個人ノーマルヒルが河北省張家口の国家ジャンプセンターであり、高梨沙羅(25)=クラレ=は4位にとどまり、メダルを逃した。
1回目は有利な向かい風が上位5人で最も弱まる中、98・5メートルを飛んだものの、着地のテレマーク姿勢が決まらず5位で折り返した。浮上を目指した2回目。この回最長に並ぶ100メートルを飛び、一つ順位を上げたが、メダルには届かなかった。
持てる力を出し尽くして銅メダルだった平昌オリンピックから4年。高梨は自身のジャンプの動作を一つ一つ、納得するまで突き詰めてきた。1月下旬の時点で完成度は「9割ほど」。自分に厳しい高梨が高い評価を与えるほどに積み上げてきたのは確固たる技術。メダルには届かなかったが、後退を意味するものではない。
女子のレベル向上は、下がるほど飛距離が抑えられる助走のスタート位置にも表れている。スタート位置は年々下がっており、「一度、ゼロから組み直していかないといけない」と痛感した高梨が4年を費やしたのは、ロースピードでも戦える技術の確立だ。
助走ゲートに座った状態で助走路にスキー板の裏面がピタリと付く選手が多い中、小柄な高梨は板の一番後ろの部分が助走路に接するだけで、先端は浮いた状態になる。背筋を伸ばしてゲートに座る高梨は、スタート時に上体を後ろにそらすと同時に両足を伸ばし、板を助走路にピタリと付け、そこから前傾して滑り出す方法を取り入れた。その後は、体をそらさずゲートからポンと飛び降りるように滑り始める助走に変えるなど試行錯誤した。
平昌の次のシーズン。海外勢のように力強く台を踏みつけ、上方向に飛び出す形にトライした。高さを得た半面、空気抵抗が大きくなり、最大の武器である前方向への推進力を失った。その翌シーズンは前方向への意識が強かった。大胆な取り組みの末、昨季ごろから高さと推進力を両立させる踏み切りができるようになった。
昨季途中からはブーツに空中姿勢を安定させる「ハイバック」と呼ばれる装具を入れ、道具を使いこなすことにも注力。空中では、板の裏面を下に向けることで表面積を大きくし、浮力を得る姿勢を追求してきた。
3度目の五輪に向け「一番は4年間で作り上げてきた自分のジャンプを見てほしい」と語っていた高梨。今季のワールドカップ(W杯)で10戦6勝のマリタ・クラマー(オーストリア)は新型コロナウイルス陽性反応で欠場したが、4年前より成長したからこそ、躍進著しい欧州の実力者たちとしのぎを削ることができた。【江連能弘】
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