アース製薬の「ごきぶりホイホイ」が、今年3月、発売50年を迎えました。
現在59歳の私のように発売のあのころを知っている方は、あの家(ハウス)のような外観と手を汚さなくてすむ便利さ、そして、強い捕獲力に衝撃を受けた記憶があると思います。
ゴキブリ捕獲器の国内シェア90%を超える長寿商品を支えているのは、こだわりと創意工夫と使命感と。兵庫県赤穂市にあるホイホイの工場を訪ねました。
◇
その工場は、5階建ての建物だった。
ホイホイの生産ラインは、もちろん全自動。ゴキブリを捕獲する粘着材がついた紙のシートや誘引剤が入ったパックとともにセットにして、ホイホイが、ほいほいっと完成しては、出荷倉庫に運ばれていく。
ガチャン、ガチャン、ガチャン。
「いま時の工場としては、音が大きいですよね。じつは、作り始めのころからこのラインで生産しているんです」と、生産を統括する久保浩之・上席執行役員(58)は言う。
故障したら、従業員たちで修理する。年に一回はラインを止めて、機械をバラバラにして部品を交換したり、油を差したり。
もちろん、全自動化、IT制御など生産ラインの進化も怠っていない。
「私たちは、この工場で現場力、生産技術の基礎や応用を身につけてきました。お口くちゅくちゅの『モンダミン』をつくる最新の生産設備など、うちのすべての生産には、この工場で培った力が生かされています」
ここで生産しているのは、日…
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