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Sunday, October 15, 2023

未来へのヒント、「山の文化」に 九州山地から専門家が報告:朝日 ... - 朝日新聞デジタル

 焼き畑をはじめとした独特の文化、風習が育まれた九州山地をフィールドに「山の文化」の特徴や次世代に伝えられることを考えるセミナーが7日、熊本県五木村で開かれた。約60人が参加し、各地からの報告に耳を傾けた。

 セミナーの冒頭で、焼き畑文化に詳しい、国立民族学博物館の池谷和信教授が基調講演。「険しい山に閉ざされた地域と思われがちだが、実は、山から山へとつながる交易の歴史もあった」と指摘し、「こうした九州山地の文化をどう未来に継承していくのか議論できれば」と問題提起した。

 続いて宮崎、熊本両県からの参加者が各地の文化や歴史について報告した。

 宮崎県西米良村の古川信夫教育長は「村の人口のピークは1940年。そのときが木炭生産の最盛期でもあった」と紹介。村外資本も入って、製炭産業が育った歴史を語った。

 宮崎県西都市の東米良地区にある銀鏡(しろみ)神社の上米良久通宮司は、祭壇にイノシシの頭を捧げて奉納する神楽について紹介した。

 五木中学校(熊本県五木村)の田村誠志先生は、学校の総合学習で焼き畑に取り組んでいることを報告。「中学校の地理の教科書では短い解説でしか紹介されていないが、教科書がすべてではなく、自らの地域の歴史を知って未来につなげたい」と話した。

 その後、参加者同士で討論。宮崎大学民俗学を研究する鈴木良幸講師は「九州山地には狩猟と祭りが結びつく、都市型の生活にはない世界観がある。昔ながらの生活に持続可能性を見いだすことで、周回遅れと言われる地域が最先端になりうる」と話した。

 世界各地の焼き畑を研究している、元鹿児島県歴史・美術センター黎明館学芸課長の川野和昭さんは「山の暮らしが貧しくて、都会が豊かなのかを問う必要がある」と指摘。かつて宮崎県椎葉村で狩猟を営む人から聞いた「ノサランモノハ ネガイモウサン(与えられる幸、恵み以外はお願いいたしません)」という言葉を紹介、「未来に何を伝えるかのヒントがある」と語った。

 五木村のヒストリアテラス五木谷では特別企画展「九州山地の焼畑文化」も始まった。九州山地の中で人はどう往来していたのか、どんな信仰を守ってきたのか、などが展示資料で一覧できる。12月3日まで(月曜休館)。(今村建二)

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